日めくりプロ野球 8月

【8月16日】2001年(平13) 横浜、試合放棄寸前!“誤審”でマジック点灯

[ 2008年8月12日 06:00 ]

声を荒げて抗議する森監督(左)。売った佐伯も判定に納得いかない表情だ
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 【ヤクルト0-0横浜】「“きょうだけは勘弁してくれ”とは、どういうことだ!何が“きょうだけ”だ。明らかに間違いを認めているんだぞ。望みは薄いかもしれないが、まだ優勝する可能性は残されているんだ。大事な試合に“きょうだけ”も何もない。判定を覆すのが怖いだけだ。自分たちの都合ばかりで勝手に言っているだけだ」。
 普段声を荒げない、横浜・森祇晶監督が番記者相手に一気にまくし立てた。ヤクルト-横浜19回戦(神宮)、0-0で迎えた延長12回、横浜は一死三塁とこの試合初めて三塁に走者を進めた。6番・佐伯貴弘一塁手の一打はレフトへのライナー。アレックス・ラミレス左翼手は前進、三塁走者の井上純外野手はハーフウエーで打球を見ていた。
 ワンバウンド、したかに見えたが、渡田均二塁塁審は右手を上げた。「アウト!」。えっ、という表情をしながら井上は三塁ベースに急いで戻った。三塁側ベンチから森監督が形相を変えて出てきた。28分間にわたる抗議はこうして始まった。

 焦点はもちろん、ワンバウンドとしたのか、ダイレクトキャッチかである。渡田塁審らはダイレクトを主張するが、どうも歯切れが悪い。そのうち1人の審判が「ワンバウンドしたと思う」と重大な発言をした。ならばと、判定の変更を森監督は要求する。しかし、審判団はこれを受け付けない。なぜか?
 「変えられる判定と、変えにくい状況の判定がある。ホームランはボールデッドで変えやすいが、きょうの状況は変えにくい。“ワンバウンド”したのではないか、という審判も1人いたが、4人で協議した結果、アウトになった」責任審判の井野修球審は、そう説明した。
 この言葉には“伏線”がある。その6日前、東京ドームの巨人-ヤクルト戦で巨人・仁志敏久内野手の飛球を渡田三塁塁審が本塁打と判定。しかし、ヤクルト側の抗議で井野球審を責任審判とする審判団が協議した結果、判定を覆しファウルになった。森監督が声を荒げた「判定を覆すのが怖いだけだ」発言はこの事件が下敷きとしてあった。
 横浜側は収まらない。口調は穏やかだが、粘り強く抗議する森監督に、審判団は退場を命じた。選手、監督、コーチとして35年のプロ野球生活で初めての経験。その理由は「試合再開を拒否した」というものだった。
 監督の退場が場内アナウンスされると、“幻の決勝打”を放った佐伯も怒り心頭。憮然とした表情でベンチに戻らず、そのままレフト側の選手出入り口からクラブハウスへ、1人で“試合放棄”。「誰が見てもヒット。ウチが今どういう状況か分かるでしょ。日本の審判はクビにならないし、危機感がないから成長しない」と激しい言葉を吐いた。
 森監督は選手全員をベンチ裏に集合させた。放棄試合をも辞さない強い態度に、空っぽになったベンチに立ち尽くした審判団は真っ青。結局、試合は再開されたが、時計の針は午後10時半を回り、異様な雰囲気のまま、0-0の引き分けに終わった。
 これで首位ヤクルトにマジック33が点灯した。横浜が一縷の望みのある優勝のため、マジック点灯阻止のために、必至に抗議した甲斐はなかった。
 思わぬ展開に嬉しいはずのヤクルト・若松勉監督も言葉が少ない。「またあの(審判団の)クルーか…」。さて、当のラミレスはというと「僕は全力プレーをしただけ。ワンバウンド?さあ、判定がアウトなのだからアウトなんだよ」と意味深な発言。
 結果的にヤクルトは優勝、横浜は3位。あの試合、疑惑の打球がヒットになって横浜が勝っていたら、流れは変わったかどうかは分からないが、ビデオを見る限り、どうもバウンドしているような…。
 

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