日めくりプロ野球 8月

【8月14日】1963年(昭38) えっ、5連打で無得点 かたや3連打で2点!

[ 2008年8月10日 06:00 ]

先頭打者だったバルボンが盗塁死したことから生まれた珍記録。バルボンはキューバ出身の内野手。「チコ」の愛称で親しまれ、関西弁をしゃべる通訳として阪急、オリックスに在籍
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 【近鉄8-3阪急】ヒット3本を打ってもすべて“各駅停車”で1点も入らないことはよくあるが、悪くても2点入っているケースで無得点という試合があった。
 日生球場の近鉄-阪急19回戦、1回阪急は1番・バルボン二塁手が近鉄先発の久保征弘投手から幸先よく中前打で出塁。しかし、2番・岡島博治三塁手の2球目に盗塁に失敗し、一死。実はヒットエンドランのサインが出ていたが、岡島が空振りしての盗塁死だった。

 その岡島が中前打を放ち、一死一塁。3番・戸口天従(たかつぐ)一塁手は、痛烈なライナーの左前打。ここでエンドランをしくじった岡島が猛然と三塁を狙ったが、土井正博左翼手からの返球で楽々タッチアウト。3連打が二死一塁となってしまった。
 4番・中田昌宏中堅手も火の出るようなライナーで中前打を放ち、これで4連打。二死一、二塁のチャンスに5番・早瀬方禧(まさよし)左翼手も、センターへ弾き返した。中田は三塁を回って本塁へ向かったが、元捕手の山本八郎中堅手から矢のようなバックホーム。クロスプレーで中田は憤死した。これでアウト3つ。阪急は久保に5連打を浴びせながら、無得点に終わるという珍事で試合をスタートさせた。
 阪急ベンチの西本幸雄監督の表情は険しく、近鉄ベンチの別当薫監督は大笑い。「きょうの久保ならそのうちKOさ」と阪急ナインは気を取り直して、守備についたが、2回以降雲行きはどんどん怪しくなっていった。
 普通ならKOされてもおかしくない久保は2回から5回まで2安打しか許さず、無得点に抑えた。その間に近鉄は、3回と4回に3連打で2点ずつを奪い、先発の安藤治久投手をKOした。
 一方の久保は「1回に1点も取られなかったのが良かった。打たれはしたがいつも冷静だった」と12安打を許しながらも3失点完投。13勝目を挙げた。敗戦投手となった安藤はツキに見放され、以後63年は1つも勝てず、翌64年を最後に1軍のマウンドから去った。通算39勝。ここで1つ勝っておけば、節目の40勝になるはずだった。
 チーム打率2割2分1厘で、順位とともにパ・リーグ最下位だった阪急が珍しく打線がつながったにもかかわらず、みじめな敗戦をしたことに西本監督は「初回はうまくいけば3点は取れたが、ツイてないときはこんなもの。近鉄の守備、外野の肩も良かった。暴走だとは思わないが、もう少し考えて走塁をしないと…」。発展途上のチームに苦言を呈していた。
 阪急が初優勝するまでさらに5年の歳月が必要だった。

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