日めくりプロ野球 2012年9月

【9月28日】1958年(昭33) 怪童・中西太、2発でホークス撃沈 西鉄大逆転V

[ 2012年9月28日 06:00 ]

 【西鉄7-2南海】「三原魔術」「神様、仏様、稲尾様」…、数々の形容詞が付けられている昭和33年の西鉄・巨人の日本シリーズ。西鉄が巨人に3連敗後、4連勝して3連覇を達成した球史に残る選手権は、ペナントレース終盤の“怪童”の2本塁打が始まりと言っても過言ではない。

 平和台球場での西鉄-南海26回戦(最終戦)。7月の時点で最大11・5ゲーム差をわずか6厘差まで詰めた2位西鉄に、首位の南海・鶴岡一人監督はエース・杉浦忠投手を立てて必勝態勢で臨んだ。

 前日の27日、杉浦は同じ西鉄戦で延長10回を完投。3安打9奪三振無失点も、味方の援護がなく、0-0の引き分け。西鉄の残り試合は5。逆転Vをあきらめさせるには、最後の直接対決を南海は是が非でも取りたかった。

 鶴岡は無理を承知でルーキーながら27勝を挙げた杉浦に連投を命じた。しかし、鶴岡親分の祈るような思いは、西鉄の4番・中西太三塁手の衝撃の先制パンチで打ち砕かれた。

 初回、一死一、三塁。それまで12打席連続無安打の中西に、カウント0-1から「併殺狙いのインコースのシュート」(杉浦)を投げた。975グラムのバットから放たれた速い打球は、三遊間ヘのライナー、と思ったのも束の間、打球はグングン上昇し、左翼席の看板を直撃する22号3ラン本塁打となった。

 「ショートライナーか左前打だと思ったが…」とあ然とする杉浦、左翼の大沢昌芳(後に啓二)、中堅の長谷川繁雄は互いに顔を見合わせたまま一歩も動けなかった。中西伝説の一つ、“ライナーがスタンドイン”本塁打で西鉄は3点先行。通算577試合187勝を挙げた杉浦だが、先発して13球でのKOは最短記録となった。

 7回には南海4番手の戸川一郎投手(59年引退後はプロゴルファー)からダメ押しの23号2ラン。試合前「さっぱり当たらんから、もう野球を廃業せんといかんなあ」(9月28日付スポニチ)と冗談交じりにつぶやいていたが、絶対に落とせない1戦での2本塁打5打点。中西の勝負強さをまざまざと見せつけた一戦だった。

 快勝した西鉄は10月2日、平和台での近鉄ダブルヘッダーに連勝してリーグ3連覇。日本シリーズでの伝説へとつながった。

 しかし、杉浦もこの屈辱は忘れなかった。58年オフ、中西、稲尾との酒席で酔った杉浦は「来年は見ていろ」と“宣戦布告”。「打倒・西鉄」を最大の目標に掲げ、翌59年、南海は4年ぶりにパ・リーグ制覇。巨人を4タテし、2リーグ分裂後初の日本一をつかみ取った。

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