日めくりプロ野球 2012年9月

【9月14日】1975年(昭50) 本日安息日 優勝目前でも試合に出なかったシェーン

[ 2012年9月14日 06:00 ]

【広島4-3巨人】ゲーム差なしの3厘差で首位阪神を追う広島。地元での巨人24回戦は石にかじりついでも勝ちたい試合だった。ところが、レギュラー選手のリッチ・シェーン右翼手が「きょうは何があっても試合には出ない」と古葉竹識監督に事前に申し出ていた。

 シェーンは敬虔なユダヤ教徒。9月14日はユダヤ教での安息日にあたり、その日は仕事を一切してはならないというのが、“欠席理由”だった。広島ベンチは頭を抱えた。それもそのはず、安息日までのシェーンは当たりに当たっていたからだ。

 巨人3連戦の初戦となった12日、広島は4-1で先勝したが、11号ソロ本塁打を含む4打点はすべてシェーンのバットから。翌13日、6回までノーヒット投球の巨人・小川邦和投手から初安打となる同点適時打を放ったのもシェーン。この一打が突破口となり、7回に一挙6点を奪い、終わってみれば7-1で大勝していた。

 いないものは仕方がない。広島はシェーンの定位置6番・右翼に深沢修一外野手を入れた。試合は前日のビッグイニングの勢いのまま臨んだ広島が初回に4連打などで3点を奪い、先発の高橋一三投手をわずか13球でKO。7回に王貞治一塁手の60打席ぶりの27号2ランなどで追い上げられたが、4-3で逃げ切り首位を奪回。1カ月トップの座を守りきり、10月15日の初優勝まで駆け込んだ。

 信仰に厚い反面、33歳のスイッチヒッターは茶目っ気たっぷりだった。本名「シャインブルーム」を日本人に親しみやすいように、往年の西部劇映画「シェーン」にちなんで“改名”するという球団案を喜んで受け入れたり、ナインに溶け込もうと日本語をいち早く覚え、卑俗な言葉を使って同僚を笑わせた。

 来日後に覚えたパチンコにハマり、自宅マンションに台を置くほど。医師を目指し、空き時間があれば医学書を開くゲイル・ホプキンス一塁手とは対照的な存在だったが、大リーグ、ロイヤルズで同僚だった2人は意外とウマが合った。

 極端なアッパースイングで開幕前の評判は高くなかったが、打率2割8分1厘はセ・リーグ11位の成績。13本塁打56打点だが、巨人、阪神戦と客の入る試合では滅法強く、カープV1戦士として忘れ難いプレーヤーの1人だ。(2007年9月14日分再録)

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