日めくりプロ野球 2012年6月

【6月22日】1978年(昭53) あの反対運動はどこへ…大洋 川崎に“帰郷”も観衆5000人

[ 2012年6月22日 06:00 ]

 【中日9―4大洋】あれだけ出て行かないでくれ、と懇願された割にいざお里帰りしてみると、観衆はたった5000人。雨模様の曇天だったとはいえ、ちょっと寂しいお客さんの入りだった。

 大洋(現DeNA)―中日17回戦は横浜スタジアムでなく、前年77年まで大洋が本拠地としていた川崎球場で行われた。貯金9でヤクルト、巨人と首位争いを展開していた大洋。新たにオープンした横浜スタジアムでは、2年連続最下位の時とは大きく変わり、チーム打率は2割6分9厘でリーグ4位ながら、防御率は3点台で同2位。川崎時代は打線は破壊力満点も、防御率5点台に限りなく近かった弱体投手陣がネックになっていたが、投手の頑張りで78年のこの時期は首位ヤクルトと1ゲーム差の2位で追っていた。

 見事に変身した姿を古巣で見せようとしたホエールズナインだったが、どういうわけか昨年までと同じ試合展開に。先制しながらも投手陣が崩れ、中日の先発堂上照投手に4打点、田尾安志中堅手に2本塁打を食らうなど、先発の田村政雄投手以下6投手が10安打を浴び、大敗した。

 「きょうは投手陣が全滅じゃ」と別当薫監督も突然の昨年に戻ったかのような投手陣に言葉少な。山根俊夫投手コーチは「きょうは夏至だろ?投手の虫干しをしたのさ。これでホコリも取れて横浜に戻ったらまた勝てるよ」と冗談を飛ばして負けを忘れるしかなかった。

 選手のモチベーションも上がらなかったのもあった。当時としては広く、最新式の設備が備わっているハマスタで連日3万人近い観衆を集め、気分良くプレーしながら優勝を争っている中で、いまやロッテが本拠地として使っている“古い、汚い、臭い”昔の家で試合をするのは、懐かしい半面気分は乗らなかった。

 しかも、発表された観衆は5000人。実数の入場者はざっと2500人程度だった。半年前、「川崎からプロ野球の灯を消すな!」と市民54万人分の横浜への本拠地移転反対署名を集めたにもかかわらず、帰郷してみれば冷たいものだった。もっとも大洋=横浜スタジアムのイメージは公式戦が始まって3カ月足らずで浸透したようで、この日もハマスタにはナイターを観戦しようと数十人のファンが来場。試合が川崎で行われていることを球場職員に説明される光景も見られた。

 川崎市側の要求を受け入れ、3試合の公式戦を川崎で組んだ大洋だが、1試合が都市対抗予選の関係で横浜に変更になり、この中日戦と7月のヤクルト戦の2試合が行われたが、結果は2敗。以後、2000年の球場解体決定まで公式戦は行われなかった。

 1993年に大洋から横浜へ、2012年に横浜からDeNAへとチームは変わり、かつて川崎を大洋が本拠地にしていたこを知らないファンも昨今では多くなった。

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