日めくりプロ野球 2012年5月

【5月28日】1957年(昭32) どうも苦手…金田正一 プロ8年目で初のサヨナラ被弾

[ 2012年5月28日 06:00 ]

 【阪神5―4国鉄】プロ野球界でもう破られないだろう大記録の1つが400勝左腕、金田正一投手が記録した通算4490奪三振。そんな大投手が400打席近く対戦して、わずか15個しか三振を取れなかった打者が阪神の吉田義男遊撃手。その吉田、プロ8年目のこの日まで1本もサヨナラ本塁打を打たれたことがなかったカネやんに、初めてキツい一発を浴びせた。

 甲子園での阪神―国鉄10回戦、4―4で迎えた延長10回、先頭の吉田は金田の2球目のストレートを上から叩くと、打球はグングン伸びて右中間のラッキーゾーンへ飛び込んだ。吉田のシーズン4号アーチは、サヨナラ勝ちとなる一発だった。

 身長1メートル84の長身サウスポーは、その差17センチもある“牛若丸”を「このチビ、打ってみぃ」と直球でガンガン押して力で抑え込もうとするが、バットを短く持った吉田はこれを確実にミート。威圧感は感じつつも、得意な投手の一人だった。サヨナラ本塁打にしても「自然とバットが出た」と吉田。この年の8月21日に中日相手に完全試合を達成し、28勝をマークして最多勝を獲得した金田にとって一番悔しい黒星が、吉田に冷水を浴びせられた甲子園のナイターだった。

 それから6年後に、金田は吉田に大記録を打ち砕かれた。63年(昭38)8月31日、甲子園での18回戦の3回、吉田は金田のストレートをとらえ、中越えの適時二塁打を放った。

 金田が打たれたのヒットはこの1本のみ。これさえなければ、11奪三振3四球で金田は3度目のノーヒットノーラン(完全試合1度を含む)を達成していた。しかも、試合は阪神・石川緑投手が8安打を浴びながら、国鉄にホームを踏ませず、完封勝ち。金田は被安打1ながら吉田の痛打で敗戦投手となった。

 加えて金田は通算73試合完封のセ・リーグ新記録をも逃した。「吉田一人に、1本だけでやられたわい。腹が立つ」と地団太を踏んだ金田だった。

 金田対吉田の対戦成績は328打数95安打で打率2割9分。1864安打を放った吉田の生涯打率は2割6分7厘で、これだけ対戦してて3割近くのアベレージを残すということは、カモにしていた投手、と言っても過言ではない。吉田は「僕を見下ろして投げてくる分、力みがあった。甘い球がよくきた」と振り返っているが、意外な相手がカモであり、苦手であるのはなんとも面白い。

 2人とも阪神とロッテで監督を経験。それぞれ日本一にもなっている。セパ交流戦がない時代、オープン戦以外で対戦することはなかったが、交流戦や日本シリーズで指揮官となった対決を見たかったと思うオールドファンも多いのではないか。

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