日めくりプロ野球 2012年5月

【5月26日】1992年(平4) 予告していた!新庄剛志 92年初打席は初球プロ初本塁打

[ 2012年5月26日 06:00 ]

 【阪神2―1大洋】あまりに一瞬のことで、見逃したタイガースファンも多かった。快音を残して左翼へ飛んだ打球はあっと言う間にポールを巻いてスタンドに消えた。

 赤い手袋に赤のリストバンド、ヘルメットの下の髪の毛は茶髪。3年目の20歳はものすごい勢いでベースを一周した。2回、先頭打者の7番新庄剛志三塁手が放った、推定飛距離110メートルのソロ本塁打だった。

 トーマス・オマリー三塁手の骨折で4日前に1軍に昇格したばかり。この日の大洋6回戦が92年のシーズン初出場だった。その1打席目の初球、有働克也投手の緩いカーブを強引に引っ張った一撃に中村勝広監督も「思い切りがいいというか、たまたま入ったというか…。しかし、勢いをつけてくれるね、若い選手が活躍すると」と舌を巻くほど。日米通算225本放った新庄の本塁打の、これがプロ入り1号。試合は新庄の一発が決勝点となり、阪神が1点差で逃げ切り。やはり“持っている”選手だった。

 「打った瞬間、入ったのかどうか分からなかった。ファンの方の声援が打たせてくれた」と初のお立ち台では、後のスター新庄に見られるようなパフォーマンスはなく、初々しく話していたが、試合前は“ビッグマウス”だった。

 「初打席、狙ってますよホームラン。だって目立つじゃないですか」。その通りの予告弾。守ってもファームで1試合しか守ったことのないサードに入り、これをこなした。“新庄劇場”の第1幕はやはり劇的だった。

 幸運が重なっての1軍昇格だった。前年91年に1軍デビュー。9月10日の巨人24回戦(東京ドーム)で、プロ初打席で初安打初打点を記録したものの、92年の春季キャンプは2軍スタートとなった。平田勝男内野手がケガで2軍調整となり、入れ替わりで上がった。もともと外野手だった新庄だが、1年目に中日・立浪義和遊撃手のプレーを目の当たりにし「野球の華はショート」と翌日には2軍コーチに内野転向を自ら打診した。遊撃手として2軍戦に出ていたからこそ、正遊撃手の平田が離脱した時に1軍へ呼ばれたのだった。

 それでも開幕40人の1軍登録枠には漏れた。正直、さすがの新庄も落ち込んだようだが、これも新庄にしてみれば“幸運”をつかみ次へのステップを踏んだ。4月中旬に嶋田哲也投手が右手首を骨折。40人枠の変更を余儀なくされた阪神は、投手で埋めずに新庄を呼んだ。中村監督がキャンプでほれ込んだ飛距離と思い切りの良さを買われての1軍登録だった。

 そして初打席の初球でプロ初本塁打。一発でチャンスをものにした新庄はこの年、亀山努外野手と共にブレーク。打率2割7分8厘、本塁打11本でヤクルトと最終戦まで優勝を争い、デッドヒートの展開にした立役者となった。

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