日めくりプロ野球 2012年5月

【5月21日】1998年(平10) イチロー パ・リーグタイ記録に「自分の口からは言いにくい」

[ 2012年5月21日 06:00 ]

 【オリックス7―0ロッテ】13安打7得点、投げては1軍に復帰した星野伸之投手が8回無失点でシーズン初勝利と、言うことなしのオリックス。だが、一人蚊帳の外の選手がいた。

 9回に1安打を放ったものの、3回に追加点の好機で二ゴロ併殺打を打ったイチロー右翼手だった。「自分の口からは言いにくいので、ご想像にお任せします」とぶっきら棒なオリックスの看板選手。不機嫌な理由はこのロッテ10回戦(仙台)で4試合連続併殺打となったからだった。これが96年5月にダイエー・秋山幸二外野手が記録して以来、15人目のパ・リーグタイ記録だった。

 5月17日、神戸でのダイエー7回戦の7回、無死一、二塁の好機で遊ゴロを打ち、6―4―3のダブルプレーを記録。以後、19日に秋田から始まったロッテとの3連戦でも毎試合二ゴロ併殺打を判で押したように打った。俊足のイチローを一塁でアウトにする、ロッテの元大リーガー、フランコ二塁手の巧みなグラブさばきにやられたという雰囲気が強かった。

 これでイチローの併殺打はシーズン8本目。97年にはプロ入り後初めて2ケタの10併殺を数えたが、すでに39試合消化時点で、5分の4にまで達し、あのバットコントロールの上手いイチローが…と驚きの声が上がった。

 自分の口からは言いにくい、としたイチローを代弁して、新井宏昌打撃総合コーチが重い口を開いた。「バットの芯でとらえた当たりが、不運にも野手の正面をつき併殺打になるのが、これまでのイチローのパターン。でも今年は違う。併殺打になるべくしてなっている。つまり打ち取られている当たりがそのまま併殺打になっている」。

 イチローはこの年、併殺打21本と前年の2倍以上になった。1位は日本ハムのジェリー・ブルックス外野手の26本だったが、西武・ドミンゴ・マルティネス内野手と並んで堂々の2位だった。

 助っ人2人が足が遅い右打者だったにもかかわらず、俊足左打ちのイチローがこれだけの本数を記録したのは、後にも先にも、もちろん試合数が増えたメジャーに行ってもなかった。

 翌99年は5本、オリックス最終年の2000年は3本と極端に少なくなった。調整能力のすごさを見せつけたダブルプレー激減のバッティング技術。イチローは少なくなった理由の多くを語らなかった。クールに「ご想像にお任せいたします」と述べ、米球界へと旅立った。

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