日めくりプロ野球 2012年5月

【5月3日】1993年(平5) 伊良部秀輝 日本新の158キロ!「清原さんだから」

[ 2012年5月3日 06:00 ]

 【西武5―0ロッテ】ゴールデンウイーク後半の西武球場に集まった、3万2000人の観衆がスコアボードに記された数字を見るや否や、一斉に驚きの声を上げた。

 西武―ロッテ5回戦の8回、ロッテの2番手伊良部秀輝投手は先頭打者の西武の4番清原和博一塁手に投げた3、4球目が球速158キロを計測。当時の日本最速記録となった。

 「メチャクチャ速かった。怖いと思った」と清原。そう言いつつも2球ともファウルにするあたりはさすが。伊良部はこの清原との勝負で7球続けてストレートを投げ続けたが、最後は157キロ速球をセンターへ弾き返され、右中間二塁打を浴びた。「最後も速かった。けど、ずっと真っ直ぐやったから目が慣れた」という主砲は、どんなもんだい、といった表情で二塁ベース上に仁王立ちした。

 「清原さんだからこそ(158キロは)投げられた。打席に入ったとき、デカくみえたのでシャニムにいった」とは伊良部。初球は151キロ。まずは試運転といったところで、清原もバットを出さなかった。2球目は156キロとエンジンがかかりだすと、158キロが2回続いた。さらに2球続けてストレート。追い込んで仕留めにかかったが、すべてファウルにしてくる技術はそれだけで脱帽ものだった。

 伊良部も青柳進捕手も頭の中に「スライダーも選択肢」という考えが浮かんだ。しかし、それも一瞬のうちに消えた。伊良部は言う。「意地があった」。清原も読んでいた。「真っ直ぐ以外こない。三振かホームランか二つに一つ。しばくだけや」。力と力の勝負は清原に軍配が上がった。

 清原が絶好調だったのも結果に現われたのかもしれない。この試合、ロッテ先発の前田幸長投手から2本のソロ本塁打を放った。前田も「調子は上向きだったのに、清原さん一人にやられた」と言うように、当たりに当たっていた。「ラブさん。(伊良部)のあの球が外野の頭を越えて行くのだから、僕が打たれるのも当たり前。今の清原さんをストライクゾーンで打ち取るのは難しい」と前田は、打率4割近いスラッガーに舌を巻いた。

 その後も2人の名勝負は続いたが、力と力のぶつかり合いを目の当たりにした観衆の満足度は十分にあったようで「完封負けは悔しいが、伊良部対清原はゾクゾクした」というロッテファンの言葉はとても印象的だった。

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