日めくりプロ野球 2012年4月

【4月24日】2004年(平16) 長かった…15連敗の川越英隆 720日ぶりの勝利

[ 2012年4月24日 06:00 ]

 【オリックス2―1ロッテ】宿舎に戻るバスに最後に乗り込むと、チームメートから盛大な拍手が送られた。頭をかきながら、笑みが絶えないその顔からは、それまでの思いつめたような表情はすっかり消えていた。

 千葉マリンでのロッテ5回戦に先発したオリックス・川越英隆投手は7回を投げ、8安打4四球と、決して褒められた内容ではなかったが、得点を許さず交代。リリーフ陣が8、9回を1失点にとどめて、今季初白星が付いた。

 実は川越にとってこの1勝は02年5月5日の近鉄7回戦(GS神戸)以来、720日ぶりだった。「長かったですねぇ。正直、嬉しい。ホッとしています」。目にうっすらと涙がにじんだ。勝ち星がなかった間、なんと15連敗。このロッテ戦で負け投手になっていれば、オリックスの前身、阪急の大先輩である梶本隆夫投手の16連敗というパ・リーグ記録に並ぶところだった。

 「点を取られてもいいから、攻める」。心に誓いを立ててのマウンドだった。その8日前、近鉄3回戦(大阪ドーム)に先発した川越は2回2/3で7安打2四球5失点という失態を演じてKOされた。打線が一時同点に追いつき、黒星こそ付かず、連敗のリーグタイ記録の不名誉を避けることはできたが、それ以上の屈辱をベンチに戻ってから受けた。

 あまりにも覇気のない投球に伊原春樹監督が激怒。試合中にもかかわらず、ベンチ内でしっ責された。当日はNHKのBS放送で全国中継されており、そのもようがカメラを通してオンエア。中継のディレクターの意地悪?か、それとも偶然か、説教され、うつむく川越を見る近鉄ベンチまで映し出され、苦笑しているシーンまでもが放送されてしまった。

 もうチャンスはないと、半ば諦めていた中での先発指令に奮起。4、6回以外は走者を2人背負う投球だったが、相手投手の頑張りにも逆に励まされた。ロッテの先発は黒木知宏投手。01年6月24日の日本ハム戦以来、1035日ぶりの本拠地登板だった。

 73年生まれの同級生。ともに“ブランク”があっての投げ合いだった。「ジョニーより先にマウンドを降りるわけにはいかない」と川越。粘りの134球で再三ピンチを迎えながら得点を許さなかった。

 翌05年から3年連続オリックスの開幕投手を務めた川越。右ひじの痛みと戦いながら、現役生活を続け、2010年には因縁のロッテに移籍。同年には3勝をマークし、11年に引退。12年からは2軍投手コーチとなった。

 通算54勝(76敗)。その勝ち数は、あの日投げ合った黒木の背番号とくしくも同じ数字である。

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