日めくりプロ野球 2011年10月

【10月16日】1974年(昭49) 力が抜けて?ヒーロー 高木守道 殊勲の逆転サヨナラ打

[ 2011年10月16日 06:00 ]

日本シリーズ試合前の中日・高木

 【中日5―4ロッテ】おなかがゆるくなり、夜中に2度もトイレにいった男が3安打猛打賞、試合を決めるサヨナラ二塁打まで放って、大事な日本シリーズ初戦の勝利をもたらした。

 1点を追う中日は9回裏1死一、二塁で1番高木守道二塁手に打順が回った。ロッテの4本柱の切り札、村田兆治投手の2球目、内角寄りのストレートをたたいた打球は左中間を完全に破った。

 得津高宏左翼手がクッションボールを処理したが、送球を焦って返球が悪送球に。その間に二塁走者の代走、井手峻外野手はもちろん、一塁走者の谷木恭平外野手まで長駆ホームイン。20年ぶりのセ・リーグ制覇からまだ4日。その熱気と興奮を帯びたままシリーズに突入したドラゴンズは地元名古屋、中日球場で劇的なサヨナラ勝ちを収めた。

 「村田の真っ直ぐは速い、速いと聞いていたが、投球練習を見ているうちになんとかなると思った。打ったのはストレート。それに絞っていた。同点にはなると思ったけど、谷木がよく走ってくれた。嬉しい、本当に嬉しい」。15年目のベテラン、滅多にグラウンドで白い歯を見せない高木が満面の笑みのまま、ヒーローインタビューに答えた。

 第1戦勝利にこだわりすぎたロッテ・金田正一監督とアンラッキーが中日の勝利へとつながった。9回に1点を勝ち越したロッテはその裏、第2戦先発が予想された木樽正明投手をつぎ込んだ。急なリリーフに戸惑った木樽は7番木俣達彦捕手に右翼への二塁打を浴びた。

 ロッテベンチは慌てて村田を投入。8番広瀬宰遊撃手の代打谷木は三塁にファウルフライを打ち上げた。有藤通世三塁手が追うと、なんとパイプいすにぶつかり、体勢が崩れ捕球することができなかった。プレーの邪魔にならないよう、三塁側のボールボーイは避けたが、座っていたいすは置いたままだった。命拾いをした谷木は四球を選び、1死後、高木の殊勲打が生まれた。

 公式戦残り2試合、128試合目で栄冠をつかんだ中日。チームリーダーの高木は心身ともに疲れきっていた。シリーズ前日は午後9時に床に入ったものの眠れず、さらに下痢に見舞われた。2度もトイレに行き、ぐっすりとというわけには行かずに第1戦を迎えた。

 薬を飲んで試合に出場したが、下痢で力まなかったのがよかったのか、1、2打席とも安打を放ち、最後はサヨナラ打。これで調子に乗った高木は第4戦では先頭打者本塁打をかっ飛ばすなど、シリーズの打率3割6分4厘をマーク。中日は第4戦以降3連敗で日本一を逃したが、高木は敢闘賞を受賞。ドラゴンズ一筋のベテランとして意地を見せた。

 あれから37年。2011年のシーズン中に高木が監督として中日に復帰することが決まった。チームに53年ぶりの日本一をもたらした落合博満監督の後を引き受けることになるが、監督として優勝の経験はない高木が中日の新しい歴史を築き上げることができるかどうか。12年のシーズンは例年以上に中日に注目の目が集まりそうだ。

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