日めくりプロ野球 2011年10月

【10月9日】1962年(昭37) 唯一の3割打者 森永勝治 広島初の打撃タイトルホルダー

[ 2011年10月9日 06:00 ]

 セパ両リーグの全日程が終了し、個人タイトルも確定した。セ・リーグの首位打者は広島の森永勝治(後に勝也)外野手。社会人、熊谷組みから入団して4年目、前年のベストナインに続き、初の個人タイトルを獲得。広島にとっても50年(昭25)の球団以来、打撃主要3部門初のタイトルホルダーが誕生した。

 打率3割7厘でのリーディングヒッターだった。それまでセ・リーグでの一番低い打率での首位打者は、58年(昭33)の田宮謙次郎外野手が記録した3割2分。パ・リーグでも同じ58年の中西太内野手の3割1分4厘で、森永はプロ野球史上一番低い打率での首位打者に。2位の近藤和彦外野手が2割9分3厘だったことから、リーグ唯一の3割打者でもあった。

 76年(昭51)にクラウンライター(現西武)の吉岡悟内野手が3割9厘でタイトルホルダーになったことがあったが、森永の記録まで数字は落ちず、2010年終了段階でも、森永の記録はまだ更新されていない。

 「1日1本、3打席に1本ヒットを打つ、という気持ちを持ってやってきただけだよ」。物静かな左打者は、淡々とバットを振って、淡々とヒットを重ねてきただけのことだと強調した。周囲が無欲、と評する森永は、確かに首位打者を意識して1年間打席に立ったわけではなかった。9月に入り打率が3割に到達しても、表立って変わったところはなかった。

 それが不気味だった。ずっとトップを走ってきてのは、“天びん打法”の近藤和。これまで打率2位が2度。首位打者に一番近いといわれてきた選手が、もう少しで念願のタイトルに届こうかという時に対照的に焦りが出た。

 9月16日に3割5厘で並んだ森永と近藤和だったが、森永はそれまでのペースとそう変わらず、時折マルチヒットを記録。逆に近藤和はいつものシュアな打撃が見られず、打率が下降線をたどった。近藤和の打撃不振もあって、阪神と優勝争いをしていた大洋は最後に競り負け、2年ぶりのリーグ優勝を逃した。既にBクラスが確定していた広島と比べ、そのあたりのプレッシャーの差もバッティングに影響したようだ。

 森永はオープン戦から対戦するパ・リーグの投手をセ・リーグのタイプが似ている投手に見立てて打席に立ち研究。シーズン中もノートに特徴や配球を克明に記し、対戦の時に活用。新聞記事もくまなく読み、その談話などから打撃のヒントを得ていた。

 森永が13年の現役生活で3割を記録したのは、この1回だけ。V9時代の巨人にも籍を置き、代打の切り札として活躍した。広島の監督を74年の1年間だけ務め、以後は解説者となりユニホームを再度着ることはなかった。95年に59歳の若さで他界した。

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