日めくりプロ野球 2011年9月

【9月19日】2006年(平18) 移籍1号本塁打、と思いきや…奈良原浩 幻の大飛球

[ 2011年9月19日 06:00 ]

6回、奈良原の右翼スタンド際への打球をファンがキャッチし、協議の結果、二塁打と判定し全員で二塁を指さす審判団

 【横浜8―5中日】右方向への打球は感触十分だった。横浜―中日15回戦(横浜)の6回、中日は代打の奈良原浩内野手が横浜・山北茂樹投手から放った打球は、右翼スタンドへ放物線を描いて飛んでいった。

 金城龍彦右翼手が身を翻し、フェンスに直撃した場合のクッションボール処理の態勢に入った時だった。右翼スタンド最前列から伸びたグラブをはめた手に白球が吸い込まれていった。なんと観客の男性が、この“ホームランボール”をキャッチしまったのだ。

 拍手してしまった観客もいるが、左翼スタンドの中日ファンを中心に、男性は大ブーイングを浴びた。冷たい視線はグラウンドの選手からも注がれ「金城さんが怖い顔でにらんでました」と男性。横浜スタジアム中が“ありえないプレー”に、戸惑っていた。

 ところで判定はどうなるのか。二塁ベースを回ろうとしていた奈良原は、とりあえず塁審に止められた。審判団の協議の結果、判定は二塁打となった。判定の根拠となった、公認野球規則の3・16にはこうある。

 「打球または送球に対して観衆の妨害があったときは、妨害と同時にボールデッドとなり、審判員は、もし妨害がなかったら競技はどのような状態になかったを判断して、ボールデッド後の処置をとる」。

 奈良原の打球は本塁打性ではあったが、完全にスタンドインしたとは認められず、観客が捕球していなければ、フェンス直撃などインプレーの状態だった判断された。

 「昔野球をやっていて球が飛んで来て反射的に捕ってしまった」と件の男性。横浜スタジアムの“球場ルール”により、1年間出入り禁止となってしまった。

 プロ16年生、6月に日本ハムから金銭トレードで中日入りした奈良原にとって、これが移籍1号本塁打になるはずだった。「バットの芯に当たったし、風もあったからいったかなと…。最後は見ていなかったけど、打球が消えたような感じがしたから入ったのかと思ったけど」と、試合後は苦笑するしかなかった。

 奈良原はこの年限りで引退。つまり最後の本塁打になるかもしれなかった当たりは観客の妨害で二塁打で終わってしまった。スタンドインしなかった可能性は高いかもしれない。それでも邪魔されなかったらあるいは…。通算13本塁打でユニホームを脱いだ“守備の人”にとって、幻の14本目だった。

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