日めくりプロ野球 2011年9月

【9月9日】2010年(平22) 阪神困った 野手がいない!西村憲 4度も行ったり来たり

[ 2011年9月9日 06:00 ]

延長11回、打者ごとに外野のポジションを変える(左から)藤川俊、西村、平野

 【阪神2―2中日】延長10回裏、甲子園の一塁側ベンチでは緊急会議が行われていた。

 「西村でしょ」「西村ならなんとか」「西村で行きましょう」――。口々に阪神・真弓明信監督に進言するコーチ陣。「西村?上手いですよ。やれるんじゃないですか」。絶対的守護神の藤川球児投手も話に加わった。

 首位攻防戦となった阪神―中日21回戦。阪神は延長10回にベンチ入り野手16人をすべて使い果たしてしまい、投手の誰かが守備に就かなくてはならない状況に陥った。

 そこで挙がった名前が西村憲投手。九州産大出身のプロ2年目の右腕だが、福岡工大城東高時代は捕手以外のポジションを全て経験。投げない日は外野手として試合に出場していた。背に腹は代えられない。延長11回、真弓監督が渡田均球審に選手交代を告げ、場内アナウンスが流れた。「ライトに西村が入ります」。阪神ファンだけでなく、中日ファンまでどよめいた。

 真弓監督は無鉄砲に次から次へと選手を使って“弾切れ”したわけではなかった。10回、阪神は1死満塁の好機に浅井良中堅手の打球はショートライナー。当たりにつられて、一塁走者のクレイグ・ブラゼル一塁手が飛び出してしまい、ボールが転送され併殺に。ブラゼルは激高し、真鍋勝己一塁塁審に抗議。その際、思わず暴言を吐き退場となった。

 「とても感情的になり、自分が抑えられなかった。チームに迷惑をかけ、申し訳ないことをした」と反省した助っ人だが、それも後の祭り。苦肉の策で西村を外野に入れるしかなかった。

 2位中日とのゲーム差は0・5。負ければ首位陥落の阪神は、西村のポジションを打者ごとに移した。まず右翼、そして次に左翼、また右翼に戻って、さらに左翼、3度目の右翼と、実に4度も行ったり来たりした。11回を投げた藤川、12回に登板した福原忍投手の組み立てと打者の打球方向を予測しての策。外野を守った藤川俊介、平野恵一の両選手がいつでも動けるように、西村が隣に来た時は、極端に寄った。

 「外野は高校以来かな。一通りのポジションを経験していたし、打撃練習で打球を外野から見ていたし、そのイメージを思い出して守った。でもドキドキでした」と西村。結局1度も打球は飛ばず、阪神首脳陣もホッと胸をなでおろした次第。「次はピッチングで貢献したいですね」と西村は、チームのためになったとはいえ、本業の登板がなかったことにやや複雑な表情を浮かべた。

 試合は5時間21分の長丁場になり、結局引き分け。阪神はその後首位から陥落、優勝できなかった。思えば、この試合を取っていれば、優勝していたかもしれない、という思いはタイガースナインだけでなく、ファンも痛感したに違いない。

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