日めくりプロ野球 2011年8月

【8月22日】1989年(平元) あと1人でズッコケタ 宮本和知 “女房”にしかられた

[ 2011年8月22日 06:00 ]

 【巨人5―3ヤクルト】8回まで散発4安打12奪三振。プロ入り初完封は間違いない、神宮球場の満員の観客はそ誰もがそう思っていた。ヤクルト―巨人18回戦、巨人の先発宮本和知投手は完璧な投球だった。

 9回2死一塁までこぎつけた。この日宮本に2三振の5番広沢克己右翼手は、ショートへのゴロ。しかし、飛んだコースが悪かった。川相昌弘遊撃手が何とか捕球したものの内野安打に。走者が塁上に2人たまった。

 6番角富士夫三塁手はここまで3三振。9回に1三振を奪っていた宮本。「自分の背番号(13)以上の三振が取りたくて」とストレート勝負。しかし、真ん中のベルト付近の絶好球になってしまった。

 タイミングが合っていなかった角でもこれなら打ち返せる。右翼に飛んだ打球は、スタンドの中央やや下ではねた。4号3点弾は宮本のプロ初完封勝利を打ち砕く一発となった。

 続く代打の渋井敬一遊撃手を遊ゴロに仕留め、完投でシーズン2勝目をマークしたが、初のシャットアウトは逃した。「いやあ~、大ドンデン返し、アン・ポン・タンですね」と、当時の人気番組「ねるとん紅鯨団」でとんねるずの石橋貴明が、女の子に告白してフラれた男の子に対して言っていたセリフでおどけたが、その後は「(捕手)の中尾さからしかられました。自分に酔うなって」と神妙な顔つきに。ストレートで勝負にいった“若さ”を反省した。

 こういう機会を1度失うと、なかなか次のチャンスは巡ってこないものだが、宮本には意外と早く回ってきた。9月10日の広島22回戦(広島)で、5安打でプロ入り初完封。巨人の左腕投手の完封は、宮本がルーキーだった85年4月26日のキール・カムストック投手が対中日3回戦(後楽園)で記録して以来、4年ぶりのことだった。

 いつもは明るく、こんな場面でも照れておちゃらける宮本だったが、ヒーローインタビューでは無言のまま。アナウンサーが不思議に思って、顔をのぞき込むと、目を潤ませ、胸がいっぱいで何も言えない男がいた。「信じられないです…。とても嬉しい…」と言うのが精いっぱいだった。

 10月6日の大洋26回戦(横浜)でも5安打8奪三振で2度目のシャットアウトをした宮本はセ・リーグ優勝の胴上げ投手に。近鉄との日本シリーズでも、最後にマウンドにいたお陰で胴上げ投手となった。

 2完封2度の胴上げ投手で、年棒は一気に1140万円アップで760万円から大幅増となった。その源は、完封目前で打たれたヤクルト戦での経験だった。

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