日めくりプロ野球 2011年8月

【8月17日】1990年(平2) 秋山幸二 絶不調 ついに応援団もサジ投げた!?

[ 2011年8月17日 06:00 ]

 【ダイエー11―5西武】さっきまでにぎやかだった右翼席の西武応援団が急に静まり返った。3回2死一塁。打席には6番秋山幸二中堅手。いつもなら応援曲「恋してカリビアン」(荻野目洋子)のトランペットの音色が聞こえてくるはずだが、応援団は一向に演奏しようとはしなかった。

 応援ボイコット?ような行為に、応援の指揮を執るライオンズ東京応援団長は苦しい胸の内を説明した。「そりゃ応援をストップするのはつらいし、できればやりたくない。静かにして打席に集中してもらうという狙いもあるのですが、何とか奮起してもらいたいという気持ちで」。

 初回の1打席目。4点を先制された西武は2点を返し、さらに走者を一人置いて打者は秋山。一発同点機に力のない二飛。応援団からため息が漏れた。

 そして2打席目。最近10試合、43打数7安打で本塁打0、打率1割6分3厘と最悪の調子の秋山に応援団がとった措置が、応援曲なしだった。奮起してもらえばの思いも届かず中飛に終わった秋山。早出特打ちの成果も、バットを代えての気分転換も、応援団の愛のムチも効果なし。背番号1は頭を抱えてベンチに座りこんだ。

 不振にあえぐ秋山がようやく目覚めたのが、その6日後。6番に降格して5試合目の8月23日の近鉄20回戦(ナゴヤ)だった。5回、石本貴昭投手のストレートをとらえ、右中間へ14試合ぶりとなる21号ソロ本塁打を放つと、9回には木下文信投手から今度は左翼に引っ張り、弾丸ライナーで放り込んだ。

 本塁打2本にシングルも2本の計4安打。チームメートの清原和博一塁手もこの試合でアーチを描き、5月13日のダイエー8回戦(平和台)以来のAK砲アベック本塁打も記録した。21安打17点と爆発した打線に後押しされる形で、秋山が本来の打撃を取り戻した。

 「1本目はオレらしい当たりだったね。2本目は完璧。今度こそ大丈夫と言う手応えをつかんだよ。応援団にも心配をかけたけど、これで行けるでしょ」。久々に笑顔が戻った秋山だった。

 この年、秋山は51盗塁で盗塁王のタイトルを獲得したが、本塁打も35本をマーク。プロ野球史上初の30本塁打以上50盗塁の選手となった。
 

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