日めくりプロ野球 2011年8月

【8月13日】1999年(平11) どこまで飛ばすんだ!ガルベス 史上初の1年で2本

[ 2011年8月13日 06:00 ]

横浜戦でシーズン2本目の満塁本塁打を放った巨人・ガルベス

 【巨人8―5横浜】外野フライのつもりが、バットの芯でとらえた打球は高く遠く横浜スタジアム左翼場外まで飛んでいった。

 横浜―巨人17回戦の6回、無死満塁で打席に入った巨人のバルビーノ・ガルベス投手は、横浜・川村丈夫投手の甘くなった初球のチェンジアップをたたき、満塁本塁打を放った。

 どよめく3万人の観衆。左翼スタンドの巨人ファンは笑いが止まらない。ガルベスの一撃は逆転となるグランドスラム。1点ビハインドから一気に3点リードに変わった。

 「同点にしたかったんで外野フライを打つつもりで思い切り振った。そしたらあんなに飛んだってわけさ。狙ってなんて打てないよ。ただ緩いボールが来たのはラッキーだったね」。チームメートに手荒い祝福を受けても笑顔、笑顔のガルベス。この一発で乗ったガルベスは8回まで投げ切り、シーズン8勝目。負け数が先行していたが、勝敗の数が並んだ。

 ガルベスの本塁打はシーズン3本目。これだけでも十分すごいが、3号弾はプロ野球の長い歴史の中で記録にとどめられるべき1本となった。

 ガルベスは5月21日の阪神6回戦(甲子園)で、吉田豊彦投手から満塁本塁打を打っており、これでシーズン2本目。横浜戦での本塁打は、プロ野球史上17本目の投手による満塁弾だったが、1シーズンに2本は初の快挙だった。

 気持ちの切り替えがうまくいったのがガルベスに幸いした。外国人らしく「13日の金曜日」の登板を気にしていたが、8日の練習中に斉藤宜之外野手の打球が後頭部に直撃。病院で検査、治療を受けることになった。「これ以上悪いことはないだろう。13日はもういいことしか起こらない」と、不吉な数字をアクシデントにより気にすることなく投げられたのは気分的にプラスに働いた。

 ガルベスを発奮させたもう1つの好材料が家族の観戦している試合で因縁の横浜が相手だったことだ。ガルベスは4月9日に同じ横浜スタジアムで先発したものの、8失点でKO。シーズン中、好投しながらも勝ち星が増えないつまずきのもとがこの試合だと考えていた。「家族が見ている前で、またベイスターズにやられるわけにはいかない」。

 前半から飛ばして3回まで横浜を無安打に抑え、中盤につかまると、今度はバットでやり返した。ガルベスの気持ちが勝った執念の8勝目だった。

 思えばガルベスが日本で気持ち良く投球できた最後の試合だったかもしれない。以後1勝しかあげられず、翌00年は巨人に残留したものの6連敗し退団。5年間、巨人のお騒がせ外国人だった男は、46勝をマークしたこともさることながら、10本塁打30打点という打撃成績も特筆すべきものである。

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