日めくりプロ野球 2011年8月

【8月6日】1995年(平7) ピッチングどころじゃない…吉井理人 雷にビビってKO

[ 2011年8月6日 06:00 ]

ヤクルト時代の吉井

 【広島15―4ヤクルト】16安打15点。広島は連日の2ケタ得点で首位ヤクルトに連勝。2ゲーム差まで迫った。打線も好調だったが、この日の勝利は「吉井に勝たせてもらったという気もする」と広島・三村敏之監督。近鉄からトレード1年目、セ・リーグの野球に順応し、ここまで8勝3敗の好成績を残していた、ヤクルト・吉井理人投手のピッチングは今までのそれとは別人の内容で自滅した。

 初回は1安打を許したが後続を断ち、まずまずの立ち上がりだったが、2回から様子がおかしくなった。神宮球場上空を雷雲が覆い、時折稲光が走ると、いつもはポーカーフェイスの吉井の表情がにわかに落ち着かなくなった。ヒットと四球で走者を貯めると、6番山田和利一塁手に左翼線に先制の二塁打を打たれ1点を先に許した。

 3回になると、空が断続的に光り、ゴロゴロッという雷の音が次第に大きくなっていった。実は吉井、大の雷嫌い。小さな音にも反応してしまい、こればっかりは30歳になっても怖くて仕方がなかった。

 2死一、二塁で5番金本知憲左翼手を打席に迎えると、明らかにその表情はこわばっていた。この日一番大きな雷がとどろき、マウンド上で耳をふさいだ吉井。独特の投球の間もなくなり、ただ早く終わりたいの一心で投げ急いだ球は甘く入った。

 「雷?別に怖くないですね」という金本のバットは一閃。左中間スタンドの広島ファンの真っ只中に飛び込む3点本塁打となった。「ヒット狙いじゃ意味のない場面。狭い神宮球場だからこそ、狙いに行った」と金本。「コントロール抜群の吉井さんにしては甘かった」と異変は感じ取っていた。

 金本の一発で投球はメチャクチャになった。吉井はこの後3者連続四球を許して満塁にすると、9番の近藤芳久投手まで右前に2点タイムリーを打たれた。さらに3連続四球を与えると、ようやく野村監督も思い腰を上げ、2番手ブロス投手を投入した。

 全く話にならなかった吉井の投球内容は2回3分の2で球数81球、6安打で7四球、自責点8。リーグタイ記録となる1イニング5四球ではどうにもならなかった。

 あきれたのは野村監督。「吉井の投球は考えられない内容だった。悪霊にとりつかれたようだ。あんな大きな体をして雷が怖いんだって。それも異常に」と暴露されてしまった。

 「情けないです」とだけ言って球場を後にしたが、吉井のビビリは他の投手陣まで影響。後の5人の投手も連鎖反応で7四球を与え、7失点。ID野球のノムさんも、雷にビビる、投手の立て直し法まではデータに取り込まれていなかった。

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