大谷翔平、ダルビッシュ…ポストシーズンで超一流選手たちは緊張、重圧、不安とどう向き合っているのか

[ 2024年10月8日 11:15 ]

<ドジャース・パドレス2>初回、打席でマウンドのダルビッシュに会釈する大谷(撮影・沢田 明徳)
Photo By スポニチ

 大事な本番を前に緊張することは良いか、悪いか。メジャー7年目で初のポストシーズン(PS)に挑んでいるドジャース・大谷翔平投手(30)は、4日のパドレスとの地区シリーズ開幕前日会見で米メディアから「緊張しているか」と問われると、「Nope.(いいえ)」と即答した。

 通訳を通さないスラングに、その場は笑いに包まれ「そのために小さい頃から練習してきてますし、そういう舞台でプレーしたいという思いでやってきたので、そこが一番楽しみだなって方が今は大きいです」と続けた。

 パ軍のダルビッシュは6日の第2戦で7回1失点でチームを勝利に導き、試合後の会見で「今日起きてから全く緊張がなかった。本当に落ち着いていました。それがなぜなのかわからないですけど、さすがにもう38歳なので、ガチガチに緊張していられない」と笑っていた。ともにこれまでの経験を踏まえた上で本番に向けて入念な準備を重ね、緊張しなかったことで結果を残した好例といえる。

 このオフに海外FA権を行使して大リーグ移籍を目指すと表明した巨人・菅野は、かつてテレビ番組で「僕は技術さえあれば絶対に打たれないと思っている。技術を高めれば、メンタルなんて関係ないと思っています」と語っていた。大谷、ダルビッシュのように、緊張しないタイプなのかもしれない。

 しかし、緊張は受け入れるべきという意見もある。DeNAや日本ハムでコーチを務め、23年のWBCでは優勝した侍ジャパンでヘッドコーチを務めた白井一幸氏は、よく報道陣に「僕は“大いに緊張していこう”と選手に声を掛ける。緊張感は成功意欲と責任感の裏返し」と語っていた。緊張からくる不安や重圧から逃げず、そのまま受け入れることが好結果につながるという。白井コーチの声かけもあり、大事な試合でもいつも通り躍動する若手選手の活躍は目を引くものがあった。

 また、現実世界ではないが、人気漫画「スラムダンク」でバスケットボール部監督の安西光義先生は、インターハイ2回戦の山王工業戦前に「試合前の緊張感は誰にでもあるもの それから逃げずに受け止め そして乗り越えたときに初めて理想の精神状態にたどりつける」と名言を残している。その後、緊張を乗り越えた主人公・桜木花道ら選手たちが大金星を挙げ、読者の心を熱くした。「スラムダンク」は言わずと知れた大谷の愛読書。大谷がこの言葉をどう捉えているのか、興味深い。

 メジャーリーグのPSは始まったばかり。日本のプロ野球はこれからCSが始まる。選手たちが緊張、重圧、不安とどう向き合っていくのか。その心理状態に迫るのも、記者の仕事の一つ。一流の思考法を、余すところなく伝えていきたい。(記者コラム・柳原 直之)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

野球の2024年10月8日のニュース