【筑後鷹】斉藤和巳4軍監督が「凄く負けず嫌い」と評し、期待する19歳の新人野手

[ 2024年8月13日 05:00 ]

ソフトバンク・斉藤和巳4軍監督
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 今週の「筑後鷹」はソフトバンク・斉藤和巳4軍監督(46)のインタビュー。定期的に直近で光った4軍選手を聞いて紹介していく。第1回は負けん気が強いという育成ルーキーの中沢恒貴内野手(19)。さまざまな投手の球質や変化球の軌道を再現できる打撃マシン「アイピッチ」を用いた検定に何度も挑戦し、着実に成長を遂げている。 (聞き手=木下 大一)

 ――スポニチ西部版で毎週火曜日に「筑後鷹」というコーナーがあります。今回から定期的に和巳監督に4軍で成長している選手などを紹介していただきたいと思いまして。
 「オーケー。喜んで」

 ――本題に入る前に監督自身のことも少し。10代の若手が多いですが接し方だったり慣れましたか?
 「難しいよ。(自分たちの年代と)反応も違うしね。言ったら言った分だけへこんでしまう感覚もあるし。でも、だからといって言わないというのは違うと思ってる。今も昔も自分で物事を考えて行動できて、精神的にも肉体的にも強い選手が上に行く。だから伝え方は考えている。昔みたいに思ったらすぐ言葉を発することはしないように気をつけている。感情を乗せないように、冷静に、言葉を選んで。伝えるタイミングをうかがっていたら、なかなか伝えられない時もあったりするけどね」

 ――暑い季節ですがこの時期に重視していることはありますか。
 「今で言うとコンディションやね。今月は休みをつくって2勤(1休)でやったりね。春先から(城島)SCと話し合って、夏場は厳しいトレーニングを続けるのは厳しいだろうからと」

 ――より質のいい練習をさせていくということですね。
 「もちろんプロ野球の世界はこんな休みが多いわけじゃない。全部が全部、それでいいとは思ってないよ。暑いといっても、上に行くためには屋根がない球場で日中に試合がある2軍を経由しないといけないわけだし。でも、体力、技術が足りてないから4軍にいるわけなんでね。まずはベースをつくらせないといけない」

 ――改めて今回1人目ということになりますが、直近で目についた選手を挙げてもらってもいいですか。
 「直近で言うと高卒ルーキーの中沢(恒貴内野手=19)やね。ここ1、2カ月の成長を凄く感じる。リハビリからのスタートだったから成長の伸びがグンと来ているのもあるかもしれないけど、今だったら中沢しか出てこないというくらい」

 ――今日も和巳監督とアイピッチ(※)に取り組んでいました。
 「そうそう。効果が出る、出ないは本人次第だけど、彼に関してはしっかりと効果が出ているのでね。検定のテストもあるんだけど、中沢は落ちても落ちてもめげずに受けに来る。ほかにも活用している選手に関しては効果が出ている選手が多いよ。ただ、あまり気持ちよくバッティングできる練習ではないのでね。実際のところは9割方の選手は嫌う」

 ――マシンが150キロ超の直球や変化球を投げるので、普通の投手のようにタイミングを取ることができないとの声も聞きます。
 「打ちにくいだろうなといまだに思うよ。自分のスイングができない、自分のタイミングで打てない。それで嫌がる選手がほとんどなんだけど。でも、野球って自分の思い通りにできないものだから。“どう対応しようか”という意識で入るから、何度も何度もやったら対応力が上がる。検定のテストで上のレベルにいっている選手は3軍、4軍でも結果を残している。取り組んでいる選手は目に見えて変わってきているし、確率的に結果も出てきている」

 ――そもそもレベルが高くなるほど相手も打ちやすくは投げてくれないわけですしね。
 「もっと頑張って(テストを)受けたらいいのにという選手もいるし、声もかけているけど、気持ちよく練習をしたい選手がほとんどなのでね。でも、厳しい言い方をするとそれは自己満足。そういう選手は成長度合いが遅くなるリスクもある。後退する可能性さえもある意識だから。ほかで補える練習をしているかが大事になってくると思うけどね」

 ――中沢選手の話に戻ると、彼はどんな性格ですか。
 「負けず嫌いよ。凄く負けず嫌い。それが態度でも見えるところがまだまだ若いなと思うけど(笑い)。でも大事なことだからね。そういう選手が一人でも増えていけば、空気感も変わってくるんじゃないかとも思うけどね。アイピッチに関しては名前を挙げた中沢に加えて、同じ高卒の新人・藤田(悠太郎捕手=19)であったり、佐倉((人ベンに峡の旧字体のツクリ)史朗内野手=18)であったりも、落ちても落ちても何度も受けているね。ある程度のレベルに来たら、おれが球種を出して勝負をしたりもしているよ」

 ※アイピッチ 高性能弾道測定器「トラックマン」のデータを入力することで実在の投手の球質を再現することができる打撃マシン。ソフトバンクのファームでは難易度のレベルを設定した検定を行っている。最上位「レベル16」は150キロの直球、カーブ、カット、スライダー、フォーク、チェンジアップ、シュートをミックスで投げてくる“難敵”から10打数3安打以上をマークすれば合格となる。

 ◇斉藤 和巳(さいとう・かずみ) 1977年(昭52)11月30日生まれ、京都府出身の46歳。南京都(現京都広学館)から95年ドラフト1位でダイエー(現ソフトバンク)入団。通算成績は150試合79勝23敗、防御率3・33。沢村賞を2度(03、06年)受賞。23年は1軍投手コーチを務めた。1メートル92。右投げ右打ち。

 ◇中沢 恒貴(なかざわ・こうき)2005年(平17)7月3日生まれ、東京都出身の19歳。青森・八戸学院光星では2度、甲子園に出場。23年夏は主将としてベスト8進出に貢献した。23年育成ドラフト4位でソフトバンクに入団。背番号131。1メートル79、81キロ。右投げ右打ち。

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