広島・新井監督 4回九里に代打&奨成不発も迷いなし積極采配「大きなチャンスがあと何回あるかと…」

[ 2024年8月12日 05:45 ]

セ・リーグ   広島0―4阪神 ( 2024年8月11日    京セラD )

<神・広>8回、選手交代を伝えた新井監督(撮影・岸 良祐)
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 広島・新井貴浩監督(47)の積極采配は不発に終わった。0―4で今季17度目の零敗を喫した11日の阪神戦。4回2死満塁の好機に早々と先発・九里亜蓮投手(32)に代打を送り、中村奨成外野手(25)を昇格即今季初の「1番・左翼」に抜てきしたものの、結果は伴わなかった。阪神戦3連勝はならず2位・巨人とは1ゲーム差。きょう12日から本拠地マツダで9連戦最後のDeNA戦に臨む。

 敵地の赤いファンがどよめいた。2点を追う4回2死一、二塁から矢野が四球を選んだ満塁で、新井監督は9番・九里の打順で代打・石原を告げた。だが、低めのツーシームを2球ファウルし、最後は内角低めスライダーに空振り三振。26歳は悔しさをにじませた。

 「甘く入ってきた球は打ちにいく準備をしないといけない。そう思って初球は打ちにいけたけど…。考え方の整理をしていけたらというのが反省点です」

 9連戦の6戦目にもかかわらず、超早い仕掛けだった。2点を取られたとはいえ、まだ中盤4回。若手ならともかく、九里は4本柱と評されるローテーション投手だ。通常は続投。そこに思い切って代打策を取った。新井監督は説明する。

 「(九里)亜蓮の今日の状態と、相手投手の状態を見て。向こうもブルペンは強力。大きなチャンスがあと何回あるかと考えた上で代打を出しました」

 勝負どころと判断すればセオリーにとらわれない。4月17日のDeNA戦で4回まで1失点だったアドゥワに代打を出す、攻めの采配で勝利をもぎ取った実績がある。

 指揮官はまた、今季3度目の昇格を果たした中村奨を今季初めて1番・左翼で先発起用した。連戦中の疲労を考慮し、前日は野間、この日は秋山がそれぞれ休養。その措置に伴う思い切った抜てき。期待の若ゴイは、しかし、無安打に終わり、唇をかみしめる。

 「打ち返せるボールも何球かあった。それを仕留め切れなかったのが、ああいう結果になったと思います。ちょっと悔しいです」

 時に大胆不敵な積極采配は、この日に限れば不発に終わった。左腕・高橋ら阪神投手陣に沈黙し、今季17度目の零敗。2位・巨人とは1ゲーム差に縮まったものの、3位の虎との直接対決に勝ち越した事実は大きい。

 「ヒットは出なかったけど、良かったね。いい感じでスイングできていた。内容はよかったと思う」

 失意の中村奨を、そう称えた指揮官。敗戦でも首尾一貫、責めずに優しく背中を押すマネジメントがまた、頂点を目指すナインの士気をグッと高める。(江尾 卓也)

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