弟の支配下登録喜ばないソフトバンク・川瀬晃 裏にある優しさとプレーで刺激を与えようとする兄の決意

[ 2024年8月7日 07:15 ]

ソフトバンク・川瀬晃
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 兄貴だからといって大歓迎も、容赦もしていなかった。ソフトバンク川瀬晃内野手(26)が、同じプロ選手となった弟を少し突き放しつつ祝福していた。7月30日にオリックスの川瀬堅斗投手(22)が支配下登録された。右腕は20年の育成ドラフト1位指名後に努力を続けて2桁背番号となった。ただ、同日の仙台での楽天戦前。兄は少しクールに努めた上に、厳しかった。あえて距離感を保つ姿に感服させられた。

 「電話では話しましたよ。弟も4年間、頑張ってきた。でも僕は実際に自分のことで精いっぱい。僕も試合に出ていないし、言うこともない。お互い頑張ろうやとは言いましたけど」

 川瀬家は男5人兄弟。四男が晃で、五男が堅斗。ともに大分商を経て、立場は違うがプロ球団に入団した。高卒9年目の兄はプロとして立場が並んだことはうれしそうだったが、甘くないという厳しさを伝えたい思いが強そうだった。

 「また、いつ育成に戻ることになったり、戦力外となったりするか分からない。だから、ここからがスタートだと言いたいですね」。弟・堅斗にも熱意は伝わっているという。

 兄として、優しさものぞかせた。毎春の宮崎キャンプで、晃の姿をチェックしに来る大分県在住の両親に伝えた。「父親も母親も、いつも僕らを気にかけてくれています。感謝していますけど、投げる弟を優先して見に行ってあげてと言っています」。あとは、野手の兄は、背中で示すだけと思っている。

 「僕はレギュラーではないので。できることをやる。それだけです」。小久保監督が「ひかる、行け」とアイコンタクトを送るだけで、攻守において自身の仕事を把握し行動に移すことができるのが強みだ。1軍戦力として欠かせないが、弟の支配下昇格を刺激にするのではなく、兄はプレーでプロの先輩として刺激を与えようとしている。実に粋な、兄貴の姿を今後も見続けようと思う。(記者コラム・井上 満夫)

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