名門復活を目指した帝京の夏 西崎桔平主将の覚悟とは

[ 2024年8月6日 08:00 ]

東西東京大会開会式で選手宣誓を行った帝京・西崎
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 7日に開幕を迎える第106回全国高校野球選手権大会。秋田大会から注目を浴び続けている金足農・吉田大輝投手(2年)を筆頭に、今夏も多くの高校球児と出会うことができた。選手それぞれにドラマがあるが、その全てを紙面で伝えられるわけではない。惜しくも決勝で敗れ、13年ぶりの甲子園出場を逃した帝京(東東京)には名門復活に全てを懸けてきた西崎桔平主将(3年)がいた。

 今年6月、帝京の練習は公式戦以上とも言える緊張感の中で行われていた。ノックではミスが続くと「これで高校野球終わるぞ」「惜しいプレーが一番後悔するんだぞ」など、強い言葉が選手間で次々と交わされていた。全員が本気で甲子園を目指し、そのレベルでのプレーを追い求めているからこその言葉で、雰囲気が悪くなることは決してなかった。その中心でチームを引っ張っていた存在こそ西崎だ。

 中学は名門・佐倉シニアに所属。多くの強豪校からオファーがあったが、西崎は迷わず帝京を選択した。「当時、何年も続けて甲子園に出ている高校からも誘われたが自分は帝京を選びました。理由は名門と呼ばれながら甲子園から遠ざかっており、自分の手で復活させたかったからです」。中学まで主将の経験はなかったが、中3で掲げた決意を達成するために帝京では立候補してチームをまとめ上げた。

 今夏は強打のチームとして注目も浴び、優勝候補として決勝まで進んだ。だが、関東第一との大一番では自らの2失策もあり5―8で敗れた。だが、9回1死で立った高校最後の打席はバットをギリギリまで短く持ち、四球をもぎ取ると「ここからだぞ」とベンチに向かって吠えた。最後まで戦う姿勢を示した主将を金田優哉監督も「西崎がいなかったらここまでにはならなかった。本当に素晴らしいキャプテンだった」と賛辞の言葉を送った。

 夢はプロ野球選手。高校野球は終えたが「帝京で野球がやれて良かった。ここでしか学べないこともたくさんあった。将来はもっともっと成長してドラフト1位でプロへ行きたい」。最後は負けた。だが帝京で過ごした3年間は無駄ではなかった。西崎の言葉からはそんな思いも伝わってきた。(記者コラム・村井 樹)

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