東海大熊本星翔 兵庫からやってきたエース・玉木稜真が5年ぶり聖地導いた

[ 2023年7月25日 04:55 ]

第105回全国高校野球選手権熊本大会 決勝   東海大熊本星翔5―0九州学院 ( 2023年7月24日    リブワーク藤崎台 )

<九州学院・東海大熊本星翔>甲子園出場を決め喜びを爆発させる完封の玉木(後列左から2人目)ら東海大熊本星翔ナイン(撮影・岡田 丈靖)
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 兵庫県からやってきた東海大熊本星翔のエース・玉木稜真(3年)が今大会初完投、初完封。2連覇を狙う九州学院の前に大きく立ちはだかり、チームを5年ぶり3度目の甲子園に導いた。4回二死までパーフェクトピッチングで立ち上がると、その後もイニングの先頭打者を一度も出塁させず、散発3安打に封じて昨夏の悔しさを晴らした。

 ちょうど1年前の7月24日、準決勝で九州学院と対戦。背番号10で先発した玉木が6回に崩れて逆転を許し、3―4で敗れた。「自分のせいで負けた。先輩たちへの申し訳なさと悔しさは忘れることがなかった」と玉木。春季大会で敗れた有明を準決勝で下した次は1年前のリベンジに成功。「最高です」と笑顔を見せた。

 甲子園がある兵庫県西宮市に隣接する宝塚市出身。中学時代に所属した大淀ボーイズでは「4、5番手ピッチャーでした」と、エリートではなかった。「東海大の縦じまを着たくて」東海大熊本星翔進学を熱望。それを伝え聞いた野仲義高監督は「彼の試合を見に行ったら、7連続四死球をして…。でもフォームがきれいだったし、もしかしたら(化けるんじゃないか)と」。懐かしそうに振り返った。光るものを見せた玉木はチームを甲子園に導く大黒柱に成長。「この夏の投球を考えたら、こんなにいいピッチングをしてくれるとは思わなかった。たくましく成長してくれた」と指揮官は目を細めた。

 熊本で急成長を遂げた右腕が「小さい頃から父に何度も連れて行ってもらった」聖地でプレーする。「友人たちが応援に来てくれる。成長した姿を見せたい。甲子園で勝利することが目標です」。まだまだ夢の途中。今度はチームを甲子園初勝利に導く快投を目指す。 (本間 正則)

 ≪九州学院、あと一歩…≫九州学院の「再び甲子園へ」の夢はあと一歩、届かなかった。昨夏の甲子園で8強入りに貢献した直江新(3年)が、この日最速147キロの直球を武器に東海大熊本星翔打線に挑んだが、3回に4連打を含む5安打を浴びて3点を失い主導権を握られると、9回も2点を奪われこの夏最多の5失点。大黒柱が踏ん張れず、2年連続の甲子園出場とはならなかった。「3回はもう少し慎重に投げておくべきだった。このチームで甲子園に行けなくてとても残念」と目を赤くした。今度の進路が注目されるが「いまはまだ分からない。どういう形になっても、次のステージでも頑張りたい」と明言を避けた。

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