メッツ「第三の男」千賀滉大は謎の人?番記者が真相究明に乗り出す

[ 2023年5月26日 13:46 ]

メッツの千賀滉大(AP)
Photo By AP

 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のメッツ担当ウィル・サモン記者が千賀滉大投手(30)の謎を解き明かそうとしている。

 ワールドシリーズ優勝を目指すメッツで、重要なのは先発投手陣が安定すること。マックス・シャーザー、ジャスティン・バーランダーに次ぐ存在として千賀への期待は大きい。

 しかしながら3つの謎がある。四球が多いこと。しばしばピンチを招くが、ピンチでは見事なピッチングを見せること。ホームとアウェイで成績が極端に違うこと――だ。

 謎めいた「第三の男」千賀について番記者が25日(日本時間26日)の記事で真相究明に乗り出している。24日のカブス戦も良い面と悪い面の両方が出た試合だった。

 6安打、5四球、3失点。制球に苦しみ四球を出すが、ピンチで踏ん張り、ダメージを最小限に抑える。他球団のスカウトによると、球数50球くらいから、ストライクゾーンではなく、ゾーンの縁を狙って、ボール球が増えるそうだ。

 ただし、カブス戦は明らかなボールが多かった。ここまで対戦した14・6%の打者を歩かせていて、これは規定投球回数に届く投手の中でワーストのカージナルスのジャック・フラーティ投手の14・8%に近い数字。心配だが、実は他の日本人投手もデビューから最初の9試合は四球が多かった。石井一久は15・1%、野茂英雄は13・8%、ダルビッシュ有は12・9%だった。加えてカブス戦については、相手がしっかり対策を練っていた。低めには手を出さず、球数を投げさせ、最初の12人の打者のうち半分がフルカウントになった。

 バック・ショーウォルター監督は「もうちょっと温かくなった時に、コントロールが安定してくれば。でも彼は良いピッチングをしているし、うちに勝つチャンスを与え続けてくれている」と話している。千賀は9イニング当たり7・9本のヒットを打たれ、5・8個の四球を出し、WHIP(1イニングあたり何人の走者を出したか)は1・521だ。WHIPで1・500を超えれば、防御率は4点台後半か5点台になることが多い。しかし千賀は3・94と3点台に踏みとどまっている。ピンチに強い。

 ショーウォルター監督は「そこは素晴らしい。多くの投手はピンチで抑えられずゲームを台無しにしてしまうのにね」と言う。粘り強いし、ギアも上がるのだろう。もっとも千賀自身にはなぜピンチに強いのか明確な答えはなかった。「メンタリティーが変わるわけでもない」と本人。とはいえ、このやり方が推奨されるわけではない。走者を出さず、すぐにアウトを取る方が良いに決まっている。ただ、ピンチでの強さは千賀の能力の高さの証明なのかもしれない。

 ホームとアウェイで成績が大きく違うのもミステリーだ。ホームのシティフィールドでは4試合に先発し、防御率1・57、被打率・161、本塁打1本。一方他の球場では5試合に先発し、防御率6・12、被打率・287、本塁打5本である。

 ショーウォルター監督は「もっと試合数を積み重ねれば、数字は均等になっていく」と予想する。千賀も特に理由はないと言う。シーズンは約3分の1に近づいている。メッツは26勝25敗でナ・リーグ東地区の2位だ。成績を上げて行くにはシャーザー、バーランダーに次ぐ「第三の男」千賀はとても重要な存在。サモン記者は千賀の謎を解明とはいかなかったが、良い部分を伸ばしていくことで安定感が得られるのではととても期待している。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年5月26日のニュース