【スポニチスカウト部(12)】BC栃木 入江空 球威復活!!夢追う154キロ左腕

[ 2023年4月25日 06:00 ]

新天地のBC栃木では守護神を任されている入江
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第12回はルートインBCリーグ・栃木の最速154キロ左腕・入江空投手(24)。安定した社会人野球の道を自ら捨てた根っからの野球小僧。NPB入りの夢を追って独立リーグに挑戦した。 ドラフト速報

 入江が会社を辞めた理由、それは夢をかなえるためだった。8日の神奈川との開幕戦で9回に初登板。1回を1安打1失点で敗戦投手になった。それでも最速148キロの直球、鋭いスライダーを軸にアウト3つは全て三振。安定した生活を捨てた最速154キロ左腕が、ラストチャンスに燃えている。

 「もうプロは無理だな、野球をやめようかなと思っていた。親や(茨城日産の)チームメートに相談した時に“プロでやっている姿を見たい”と言われて力が湧いてきた」

 昨年のドラフト戦線では「隠し玉」候補だった。茨城日産に加入した21年6月のSUBARUとのオープン戦で自己最速の154キロをマーク。貴重な左の剛腕としてプロ注目の存在になったが、そこがピークだった。本業の営業業務で練習時間は削られ、昨年は球速が140キロ台前半まで落ちることもあった。育成指名ができない社会人選手。NPB球団からの調査書はゼロのままドラフト当日を迎えた。「もしかしたら1%くらい」と淡い期待を抱くも「入江空」の名は呼ばれなかった。

 諦めきれない夢を追うため、昨年12月25日付で退職。決して遠回りとは思っていない。車、保険、会員カードなどを取り扱う営業業務で優秀な成績も収めたこともあり「人間的に成長することができた」と社会人野球の2年間を誇る。BC栃木で野球に専念すると球威はすぐに戻った。今月2日のDeNA戦では151キロ。「154キロを出した時に近づいている感じがある」と充実感を語る。

 練習に明け暮れる日々を手に入れ、まだまだ成長中の24歳。「この年でプロに入るには即戦力でないとダメ。スピードと切れを上げて他のピッチャーと違うストレートを投げたい」。地元栃木に戻った左腕が一球に魂を込める。(柳内 遼平)

 ☆球歴 簗瀬小4年から簗瀬スポーツ少年団で野球を始め、旭中では軟式野球部に所属。宇都宮工では2年夏からベンチ入り。甲子園出場はなし。作新学院大を経て茨城日産で2年間プレーし、今季からBC栃木に加入。

 ○…サウスポーの入江にとって、栃木はこれ以上ない成長の場といえる。ロッテなどで通算96勝を挙げた成瀬善久選手兼任ヘッドコーチ、日本ハムなどで通算55勝を挙げた吉川光夫選手兼任投手コーチの両左腕から教えを授かる日々を送る。守護神を託され、吉川コーチからは「抑えは2球種を完璧に仕上げろ」と助言を受けた。先発ではカーブ、チェンジアップ、カットボールなど多彩な球種を駆使していたが、現在はスライダーとスプリットの2球種に絞った。試合後には両コーチと配球面についてもミーティングを重ね、投球術を磨いている。

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