稲葉、中嶋、吉井…指揮官ズラリ パナソニック金森新監督の武器は人脈

[ 2023年2月22日 11:05 ]

今季から監督に就任したパナソニック・金森監督(左)
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 パナソニックの新指揮官に就任した金森敬之監督(37)の武器は人脈と経験値だ。日本ハムに9年、ロッテには4年在籍した。ロッテからNPBに復帰する前年には独立リーグ・愛媛でも1年間プレーしている。

 現役時代から先輩選手にかわいがられるキャラクターだった。侍ジャパンの稲葉篤紀前監督、オリックス・中嶋聡監督、ロッテ・吉井監督、金子誠コーチ、福浦和也コーチ、東海REX・武田久投手コーチらとは今も交流がある。公私で世話になった先輩には自ら監督就任の報告を入れた。第一声は一様に「ええぇ?!お前が監督?!」。今も愛されている故の反応だった。そして異口同音に「監督は誰もができる仕事じゃないぞ。やりたくてもやれない。チームから認められてやるもの。自信を持ってやれ。楽しめ」とエールを送られた。

 パナソニックのOBでもある日本ハム・建山義紀コーチには「凄いなぁ。頼むで」と巻き返しを託された。日本ハム時代に投手コーチだった吉井監督には「同じタイミングで監督に就任したっていうのは縁があるな」と言われ、バッテリーを組んだこともある中嶋監督からは「まず選手にしゃべらせて、導いてあげるのが大事」とコミュニケーション方法を伝授された。

 ヒルマン監督、梨田監督、栗山監督、伊東監督。現役時代の指揮官は20歳以上年上で父親のような存在だったが、金森監督と選手の年齢差は最大でも15歳差。「監督感を出し過ぎてもダメだと思うので、兄貴分でいたいと思っています。実際、そんなに年を取っている訳でもないですし」と自分なりの監督像をイメージ。ウオーミングアップ中や食事時間など積極的に選手に話しかけ、自身の経験などを伝授している。野手の指導に関しても「選手の時に稲葉さんや(金子)誠さん、福浦さんらといろいろ野球の話をさせていただいた。今も電話もできますし」と不安はない。阪神、ロッテで活躍した鳥谷敬氏ともコーチ契約を結んでおり、レジェンドの思考をチームに落とし込んでいくつもりだ。

 独立リーグではプロになるために必死になる選手の姿を目の当たりにした。「プロはエリートの集団ですが、独立リーグには大学を中退したり、一度野球を諦めた選手もいました。それでもみんな夢を追いかけて必死になっていた。その姿を見ることができたのもいい経験でした」。ENEOS・大久保秀昭監督やセガサミー・西田真二監督ら社会人野球には元プロ指揮官が多数いるが、選手として独立リーグを経験している監督は珍しい。

 社会人野球もプロを目指し入社してくる選手がほとんど。だからこそ、華やかなプロ野球、ハングリーな独立リーグをとも知る金森監督の言葉はよく響く。「プロが見えないところでどれだけ練習しているかなどそういう部分も伝えられたらいい。目標のために今、何をやるべきか。プロになるだけじゃなくて、活躍できる選手になってほしいですから」。指導者にとって選手の成長を目の当たりにするのは勝利以上の醍醐味でもある。「監督と呼ばれるのはまだ慣れないですね。一瞬、他の人を探してから、あ、オレかとなる」。初々しい新監督は弟分の選手たちとともに成長する。

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