「セ・パシャッフル」12球団監督会議で仰天プラン 魅力あるプロ野球へ聖域なし

[ 2023年1月19日 05:30 ]

12球団監督会議に出席した(左から)中日・立浪監督、広島・新井監督、巨人・原監督、阪神・岡田監督、DeNA・三浦監督、ヤクルト・高津監督、オリックス・中嶋監督、ソフトバンク・藤本監督、西武・松井監督、楽天・石井監督、ロッテ・吉井監督、日本ハム・新庄監督(C)NPB/BBM2023
Photo By 提供写真

 プロ野球の12球団監督会議が18日、都内で開催され、数年前から巨人が熱望しているセ・リーグのDH制導入などが話し合われ、セ・パ「シャッフル案」など仰天プランも飛び出した。過去2年はコロナ下でオンラインだったが、3年ぶりに対面形式での開催が実現。昨年のカタールW杯で全国的な盛り上がりを見せたサッカーに負けじと、プロ野球で指揮を執る12人が魅力向上について本気で議論を交わした。

 年が明けてもサッカーW杯の余韻が残る状況で行われた12球団監督会議。日本野球界が進む未来に向け、大きな責任を背負う12人が3年ぶりに一堂に会した。共通意識は野球人気に対する危機感。冒頭、昨年12月に就任した榊原定征コミッショナーが「プロ野球の魅力向上」へ向け、セ・リーグのDH制導入や12回引き分けの是非について問題提起した。

 最年長で座長を務めた阪神・岡田監督がフリートークの場で「DH制について、どうですか?」と水を向けると出席者から「セとパでルールが異なる印象。なかなか一つの方向性にならない」と声が上がった。パ・リーグのDH制の開始は約半世紀前の75年だ。数年前から巨人・原監督はDH制導入を訴え、野手9人と対戦することによる投手のレベルアップ、アマチュアではレギュラーが9人から10人に増え打撃に特化した選手の育成にもつながると強調。20年12月には巨人がセ・リーグ理事会で21年の暫定的なDH制導入の提案書を提出も、賛同を得られず見送られた。

 ただ周囲の状況は変化している。メジャーではナ・リーグが昨季からDH制を導入。73年から実施してきたア・リーグと足並みをそろえた。DH制導入には「(選手起用の)醍醐味(だいごみ)がない」と反対意見を持つ岡田監督も「ファンが本当に楽しんでもらえるにはどうしたらいいか」と危機意識は高く「コミッショナー、NPBを含めて検討していく話」とした。

 2度目の参加となった日本ハム・新庄監督も複数の提案を行った。まずはセ・パ「シャッフル案」。会議後に「シーズン後に箱の中に(セ、パ6個ずつの)ボールを入れて監督が引く。来年、ファイターズはセ・リーグ!みたいな」と説明。仮に両リーグがDH制を採用すればシャッフルもしやすくなる。ロッテ・佐々木朗やヤクルト・村上らスター選手の新鮮な相手との対戦機会が増え、日本シリーズで巨人VS阪神が実現する可能性もある。日本一球団とワールドシリーズ王者との「世界一決定戦」の開催も提案。いずれもすぐに実現する可能性は低いが表情は真剣だった。

 かつて、全国の老若男女がプロ野球に熱中した時代があった。そんな少年時代を過ごした12人が本気で語り合った「未来」。新庄監督の熱弁を笑い飛ばすような人間は、誰ひとりとしていなかった。(伊藤 幸男)

 【DH制議論の経過】

 ▼19年10月24日 巨人・原監督がオーナー報告で「(セも)DH制は使うべき」と提言。日本シリーズでソフトバンクに4連敗し「DH制というので相当差をつけられている感じがある」

 ▼20年11月19日 NPBが日本シリーズで全試合DH制を導入すると発表。コロナ下の過密日程で投手の負担軽減を目的にソフトバンクが申し入れ、臨時実行委員会で特例として決定。

 ▼12月3日 日本プロ野球選手会が、選手会総会で12球団の選手会長ら25選手にアンケートを実施。9割以上がセのDH制導入に賛成だった。

 ▼同14日 巨人がセ理事会で21年の暫定的なDH制導入を提案。コロナ下での投手の負担軽減、野手の出場機会増などを理由に掲げ、山口寿一オーナー名で提案書を提出したが、賛同を得られずに見送られた。

続きを表示

2023年1月19日のニュース