松坂大輔氏 春季キャンプで西武臨時コーチに 盟友・松井新監督のため投手部門の強化に着手

[ 2023年1月11日 03:00 ]

西武の臨時コーチを務める松坂大輔氏
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 19年以来4年ぶりのリーグ優勝を狙う西武が球団OBで日米通算170勝の松坂大輔氏(42=スポニチ本紙評論家)を春季キャンプで臨時コーチとして招聘(しょうへい)することが10日、分かった。2月6日から宮崎・南郷で始まるA班(1軍)キャンプの一部期間での指導を予定している。現役時代からの盟友で投手力中心のチームを理想とする松井稼頭央新監督(47)のため、「平成の怪物」が一肌脱ぐ。

 怪物が指導者として帰ってくる。かつて西武で一時代を築いた松坂氏に課されたミッションは投手王国の復活。入団からメジャー移籍するまでの8年間で計72完投を誇り「先発は最後までマウンドを譲らない」という信念を持ち続けた男が、臨時コーチとして投手部門の強化に着手する。

 招聘の大きな狙いは近年完投数が激減した先発陣の再建。3位に食い込んだ昨季のチーム完投数はわずか2(与座と松本が1ずつ。日米通算170勝の松坂氏といえば「先発完投」。新人王に輝いた1年目の99年から6完投を記録し、05年は自己最多15完投をマークした。過去に「エースは高橋投手だと思いますけど本当の意味でエースと呼ばれるには物足りない。(昨季は)完投もなかった」と話していた松坂氏には、高橋など実績ある投手のエースへの成長を促すと同時に、救援から先発に転向する平良など成長途上の若手の底上げも求められる。

 21年まで4年連続でリーグワーストだったチーム防御率が昨季はリーグトップの2・75まで改善。だが大きな要因は救援防御率が21年の3・59から2・31に向上したことで先発陣の再整備は急務だ。松井新監督も松坂氏がエースで在籍していた時代のような投手力中心のチームを理想とする。両者は99年から5年間同僚としてプレーし、メジャー時代も親交が深かった。松坂氏にとっては今回が指導者としての第一歩。現役最後の2年間は西武に在籍し多くの投手の特徴や性格も把握しており、各自に寄り添った指導が期待できる。

 松坂氏は西武で新人だった99年の春季キャンプで多くの報道陣やファンを集め「大フィーバー」を起こした。今回は多忙なスケジュールを縫ってA班の一部日程で指導を行う予定。日米で完投にこだわり続けた男が「怪物イズム」を注入する。

 ≪近年は完投数が激減≫松坂氏が入団した99年以降の西武の完投数は11年までは毎年2桁を記録。その間、松坂氏が01年と04~06年、涌井(現中日)が09年に個人別のリーグ最多完投を記録するなど、かつては先発完投型のエースが存在したが、近年は完投数が激減。特に過去3年では20年(1完投)、昨年(2完投)と2度も両リーグ最少を記録。個人別の完投も昨季は松本と与座がそれぞれ1度マークしただけ。リーグ1位のチーム防御率2.75をマークしたものの、先発陣のスタミナ強化が課題だ。

 ≪取材にも注力≫松坂氏は昨年末からボストンの自宅に滞在している。2月は自身がキャスターを務めるテレビ朝日系「報道ステーション」の取材で、昨年に続いてプロ野球の各キャンプ地を回る予定だ。また、同局は3月21日(日本時間22日)に米フロリダで行われるWBC決勝を中継予定で、今後について「3月のWBCに向けた取材が中心になる」と語っている。

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