“大学侍”強化合宿で存在感放った高校時代公式登板なし155キロ右腕 平成国際大・冨士隼斗の可能性

[ 2022年12月18日 08:00 ]

平成国際大・冨士
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 逸材が愛媛・松山の坊っちゃんスタジアムに一堂に会した。来年7月開催予定の「第44回日米大学野球選手権大会」に出場する侍ジャパン大学代表候補選手の強化合宿が今月2~4日に行われ、各大学の中心メンバーである44選手が参加した。

 3日間の日程のうち2、3日と最初の2日間で変則ルールの紅白戦が行われ、ひときわ存在感を示したのが3日に登板した平成国際大の右腕・冨士隼斗投手(3年)だった。レッドソックスを思わせる赤いユニホームに身を包んだ右腕がマウンドに上がると、球場が少しずつざわつき始めた。投球練習の初球から151キロを計測。その後も150キロ、151キロ…。記者は「投球練習でこんなに思い切り投げるのか」と驚き、見学に来ていた地元の子供も「えっ、えぐい…」と目を丸くしていた。

 紅白戦ではソロ本塁打を浴びたものの、2回を2安打1失点で2奪三振。自己最速タイの155キロもマークするなど、全22球のうち15球が150キロを超え「どれだけレベルの高い打者に通用するのか試したかった。自分の持ち味である直球は、しっかり投げられたと思います」と充実感をにじませた。

 大宮東(埼玉)時代には公式戦登板はなく、最速も138キロと全くと言っていいほど目立った存在ではなかった。しかし、大学入学後に故障しがちだった右肘に負担をかけないように全身を使ったフォームに修正し、球速を伸ばすと、今秋の関甲新学生リーグではノーヒットノーランを達成するなどの活躍を見せて最多勝、最多奪三振の2冠を獲得した。

 投球練習やキャッチボールから全力で投げるのも、こだわりの一つ。「ずっと100%で投げていないと、いざマウンド上がった時に腕が振れないことがあると思うので。キャッチボールで腕を振る練習をしています」と明かした。

 まだまだ粗削りな部分が多く、あるスカウトは「ずっと球が高めに浮いていた」と評価した一方、「だけど、球がまとまってくれば大化けする可能性もある」と話していた。

 初参加の合宿を終え「いい刺激になりました。来年は、まずチームを勝たせられる投手になりたい」と意気込む。どんな成長曲線を描くのか、楽しみな選手の一人だ。
(記者コラム・田中 健人)

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2022年12月18日のニュース