日本新薬・若林、今季9本塁打も満足感なし ドラフト解禁の来季へ「社に恩返ししてプロへ行く」

[ 2022年12月3日 17:21 ]

11月5日、日本選手権・ENEOS戦で2ランを放った日本新薬・若林

 現状に満足するつもりは、さらさらない。日本新薬・若林将平外野手(22)を突き動かす原動力は、飽くなき向上心だ。2年目となる来季への意気込みを問いかけると、克服すべき課題を明確に掲げた。

 「まずは、150キロ近いまっすぐをどう捉えるか。関東のチームのピッチャーはそれぐらいのボールを投げてくる。今年1年で9本塁打したのですが、ほとんどが変化球だった。150キロ近いボールを遠くに飛ばせていない部分は改善が必要だと思います」

 収穫よりも反省に目を向けるところに、野球と向き合う真摯な姿勢が伝わってくる。ただ、若林自身の言葉とは裏腹に、入社1年目から持ち前の長打力は存分に示した。3月の東京スポニチ大会で2本塁打を放つ鮮烈デビュー。都市対抗のNTT東日本戦、日本選手権のENEOS戦でも本塁打を放った。主要な公式戦18試合で5本塁打をマーク。5番打者としての役割を果たしたが、若林は首を横に振る。

 「オープン戦や予選のように、いつも通りのスイングをすれば打てると思って試合に臨みますが、2大大会になると“打ちたい、ホームランを打ちたい”という欲が出てきてしまう。その結果、スイングが大きくなってしまったのが、都市対抗と日本選手権の初戦。いずれも2回戦でホームランを打てたのは良かったですが、本当なら初戦の試合中に気づいて対応しなければいけませんでした」

 日本選手権の初戦・宮崎梅田学園戦は2安打1打点を挙げたものの、相手投手に対して差し込まれる感覚があったという。試合中に修正できなかった反省は残ったが、中1日の練習期間で調整。「振るというより、バットを前に出すイメージ」で打席に立ったことが、7回2死一塁からの快音につながった。1ボールからの2球目フォークに対して、ヘッドを返さず強振。一時は2点差に迫る左越え2ランは、宮本慎也臨時コーチ(野球評論家)の教えを忠実に体現しかたらこそだった。

 「2年目はパワーと技術の両面での上積みが必要。オフの間にもう一回り、大きくしたいと考えていまして、体重100キロを超せるようにしたい」

 入社時の体重90キロから現在は98キロまでの増量に成功しているが、今オフの目標は人生初の3桁到達だ。1回の食事量を増やしただけでなく、間食を含めて1日5~6回の食事を継続している。チーム全体で昨オフから本格的な肉体改造に取り組んできたこともあり、アップの終了後にはプロテインやバナナをこまめに摂取。11月30日の新チーム始動から間もないが、頭の中はすでに野球一色と言って良い。

 「来年はドラフト解禁になり、自分にとってもラストチャンスになるので、そこを目指したい。大学時代に実績がなかったにもかかわらず、自分は日本新薬に拾っていただいた。自分が打てば勝つ確率も上がりますし、チームが勝つことでまず社に対して恩返しをして、プロへ行きます」

 今秋のドラフト会議で中日から7位指名された福永裕基からは、多くのことを学んだ。全体練習終了後、黙々と打ち込んでいた姿や、休日返上していた姿を肌で知る。福永が抜けた大きな穴を埋めることも期待される来季。チームの勝利につながる一打を打ち続けたその先に、若林にとっての新たなステージも待ち受ける。 

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2022年12月3日のニュース