LA在住通信員が見たジャッジVS大谷のMVP争い バーランダーや米記者の考えは…

[ 2022年11月18日 09:50 ]

大谷(右)とジャッジ(AP)
Photo By AP

 大リーグ機構(MLB)は今季の両リーグMVPを発表し、アはリーグ新記録の最多62本塁打を放ったヤンキースのアーロン・ジャッジ外野手(30)が選出された。15勝、34本塁打を記録して史上初めて投打で「規定」に到達したエンゼルスの大谷翔平投手(28)は次点だった。ロサンゼルス在住の本紙・笹田幸嗣通信員(59)が米野球記者協会(BBWAA)に属する記者の投票で選ばれる今回のMVP投票の結果を分析した。

 ジャッジと大谷のMVP論争が激化した9月中旬。今季を含めサイ・ヤング賞3度、11年にはMVPとの同時受賞も果たしたジャスティン・バーランダー(アストロズからFA)に今回の争いについて聞いた。彼は熟考をした上で「どちらにも正当性がある。本当にわからない」と困惑した表情で話した。

 バーランダーは「価値とは何か」を考えながらジャッジと大谷のを比較した。結果的にジャッジはロジャー・マリスのシーズン61本塁打のア・リーグ記録を更新し走攻守においてヤンキースをプレーオフに導いた。一方の大谷はベーブ・ルースさえも成し得なかったダブル規定(規定打席数&規定投球回)に到達した上で「15勝&34塁打」を成し遂げた。バーランダーは「甲乙はつけられない」とし、投票者には「それぞれに価値観があって当然だと思う。ひとつの答えを出すのは難しい」と語った。

 シーズン終盤は各球団の担当記者にMVPレースについて聞いた。東と中地区の記者は「ジャッジ推し」が多く、「大谷推し」は西地区が多かった。同地区との対戦が圧倒的に多い現状の日程では選手のすごみを目の当たりにするのは同地区の記者が多い。比較的感情移入が少ない他地区の記者の判断材料はプレーオフ進出の有無となる。そんな印象も受けた。

 昨今、MVPの投票権を辞退する記者や社の方針として投票権を放棄する新聞社もある。理由は「公平性を保つため」と聞く。各表彰も記者投票だけの時代から控え選手に比べ、どれだけ勝利数を上積みしたかを表す指標WAR(勝利貢献度)などの指標を取り入れる「合算ポイント方式」へ移行してもいいのではないか。そんなことを感じるMVP争いだった。(笹田幸嗣通信員)

続きを表示

2022年11月18日のニュース