トヨタ自動車が4大会ぶり6度目V 嘉陽フル回転MVP 藤原監督バースデー前祝い

[ 2022年11月10日 06:00 ]

社会人野球日本選手権 決勝   トヨタ自動車8─1NTT東日本 ( 2022年11月9日    京セラD )

<トヨタ自動車・NTT東日本>優勝を決め胴上げされるトヨタ自動車・藤原監督(撮影・後藤 正志)
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 決勝戦が行われ、トヨタ自動車が8―1でNTT東日本を下し、17年以来4大会ぶり6度目の優勝を飾った。先発した嘉陽宗一郎投手(26)が右足薬指の負傷に耐え、8回1失点の好投。3試合に先発する大車輪の活躍を見せ、最高殊勲選手賞を獲得した。打線は北村祥治主将(29)が4安打2打点を放つなど13安打の猛攻。藤原航平監督(42)にとっては就任4年目で、初の2大大会制覇となった。

 痛みも忘れて、栄光のためにひたすら腕を振った。入社5年目の嘉陽が8回7安打1失点。2番手・渕上佳輝が最後の打者から空振り三振を奪うと、ベンチから一目散にマウンドへ駆け出した。
 「最初からしっかり自分の投球ができたと思います」

 1回戦のTDK戦で、打球が右足中指付け根を直撃。試合後は靴も履けないほど腫れた。そんな背番号20を支えたのは「ここまできたら、このチームで絶対に優勝する」というエースとしての覚悟。3回以降はゼロで踏ん張り、中盤からは「気力だけ」で投げた。準々決勝・東芝戦を含め3試合21回2/3を自責点2、防御率0・83。驚異の数字で文句なしのMVPに輝いた。

 直近2年の2大大会では、上位進出を果たせなかった。チームの風向きが変わったのは昨年の都市対抗。この日と同じNTT東日本に初戦で敗れてからだ。藤原監督は敵軍の姿に学びを得たという。

 「選手が生き生きしていた。ウチもそうじゃないと、誰にも喜んでもらえない」

 心がけたのは選手、スタッフファースト。迎合するのではなく、主体的な意見は尊重した。春季キャンプでは主将・北村が「全員キャプテン」を提案。コーチから担当外の選手と定期的に面談したい、という要望もすぐに実現させた。根底にあるのは「やってみようよ!」の精神だ。ベンチの雰囲気に明るさが戻った今夏の都市対抗では4強入り。エース右腕も「野手が明るく、楽しそうにやっているのが投手にもいい影響を及ぼしている」と証言した。

 打線のつながりも勝因だが、圧巻は全5試合で4失点の投手力。同監督は「トヨタは守備力のチーム」と新風を吹き込むだけでなく、伝統も受け継いだ。「まだ通過点。常にトップを走っていけるチームでありたい」。強豪から名門への第一歩を刻んだ夜。10日に43歳の誕生日を迎える指揮官にとって、最高の前祝いとなった。

 ◇嘉陽 宗一郎(かよう・しゅういちろう)1995年(平7)11月15日生まれ、沖縄県出身の26歳。松山聖陵では2年夏からエースで、3年夏は愛媛大会4強で甲子園出場なし。亜大では1年春からリーグ戦に登板。18年にトヨタ自動車入社。19年に侍ジャパン社会人代表としてBFAアジア選手権出場。1メートル87、87キロ。右投げ右打ち。

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