ヤクルト・村上ついに出た!61打席ぶり一発で日本選手最多56号「自分でもびっくり。最後のご褒美かな」

[ 2022年10月4日 05:30 ]

セ・リーグ   ヤクルト8―2DeNA ( 2022年10月3日    神宮 )

<ヤ・D>7回、村上が56号となるソロ本塁打を放つ(撮影・篠原岳夫)
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 ついに王を超えた。ヤクルト・村上宗隆内野手(22)が3日、今季最終戦だったDeNA戦(神宮)の7回に右越え56号ソロ。64年の王貞治(巨人)を抜く日本選手シーズン本塁打の新記録を樹立した。2年連続の本塁打王、ともに初めての打点王と首位打者を獲得し、史上8人目(通算12度目)の3冠王も達成。22歳シーズンでの3冠王は、82年の落合博満(ロッテ)の29歳シーズンを塗り替える史上最年少記録となった。

 最高の笑顔だった。一塁ベンチを振り返った村上は、心の底から笑っていた。背負っていた重圧の分だけ、感情があふれ出た。両拳を握ってガッツポーズ。143試合目のシーズン最終戦、612打席目の最終打席で日本選手最多の56号。かみしめるようにダイヤモンドを一周した。

 「プレッシャーがなかったといえば、うそになる。ホッとしましたし、やっと出たなと。長い一本だった。最後の打席でホームランは自分でもびっくりしてますし、最後のご褒美かなと」

 7―2の7回先頭。入江の初球、151キロ内角高め直球を完璧に捉えた。右翼席上段への一発。鳴りやまない本拠地・神宮のファンの拍手。背番号55は再びベンチを出て、両手を上げるカーテンコールで応えた。実に14試合61打席ぶりのアーチ。55号を放ってから今季ワースト13試合本塁打なしの、長い足踏みが続いた。笑顔が消え、打席で晴れない表情が続いた。首脳陣と話し合った上で2日の阪神戦は欠場した。19年から4年目で、コロナ特例での欠場以外での欠場は初めてだった。

 だが22歳の主砲は、前を向いた。「足の上げ方、股関節の使い方、いろんなところを意識した」とこの日の試合では、右足を上げるタイミングをやや早めるなど最後まで試行錯誤。自分の打撃と向き合い、自分に勝った。

 打率トップ死守のためには3打席無安打までがリミットだった。3回に左前適時打を放ち、一挙5得点の逆転劇を演出。その安打で立つことができた4打席目で、歴史的一発を生み出した。小学高学年のときに、1試合で3方向に打ち分けてホームランを放った。高校時代にも練習試合で4打席連発し周囲の度肝を抜いた少年が、プロ野球の新たな歴史をつくった。

 2軍監督時代から成長を見てきた高津監督も「シーズン最後で56本を打つなんて漫画でも書けない。一発で仕留めてくれて、今年の村上を象徴していた。少しの幸せと驚きとやったなという達成感と、いろいろな感情が交じった」と称えた。

 打率・318、56本塁打、134打点で令和初、史上最年少の3冠王にも輝いた。「王さん、野村さん、落合さん、いろんな先輩方はもっと凄い偉業を成し遂げている。もっともっと長いシーズン、こういう成績を残せるように頑張りたい」。まだ22歳。さらに高みを目指す。(青森 正宣)

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