【甲子園】高松商・浅野 “イチローの教え”実践で52年ぶり8強「教えてくれたことをした結果でもある」

[ 2022年8月15日 14:44 ]

第104回全国高校野球選手権大会・3回戦   高松商2-1九州国際大付 ( 2022年8月15日    甲子園 )

<高松商・九州国際大付>初回1死一、二塁、高松商・山田の左前適時打で本塁に滑り込み、雄叫びをあげる二走・浅野(撮影・坂田 高浩)
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 「イチロー効果」で半世紀を超える歴史の壁を打ち破った。高校通算66本塁打を誇る高松商・浅野翔吾外野手(3年)がチームの52年ぶり8強進出の原動力となった。2試合連続の本塁打は出なかった。だが、勝つ方法は長打力だけではない。チームを勇気づけ、一丸での勝利を引き寄せたのは「足」。世界最高峰の走塁技術を持つ「レジェンド」直伝の「足」だった。

 見せ場は初回だった。先頭打者として打席に立つと、二塁内野安打で出塁。1死後、ニ盗を決め、山田一成(3年)の左前打で先制のホームを踏んだ。2番打者は送りバントを失敗。味方のミスをカバーし、流れを大きく引き寄せる二盗には「イチローの教え」が随所に詰まっていた。

 昨年12月、日米通算4367安打を誇る世界のレジェンド・イチロー氏から直接指導を受けた。

 「リードの仕方は指導してもらいました。跳ねたりしてリードするんじゃなくて、インパクト(リリース)の瞬間を見るために静かにリードしなさいと言ってもらいました」。投手に対して目線がぶれないようにかと問われると「はい」と力強く答えた。

 打撃の技術面、精神面はもちろん、浅野にとって刺激的だったのは「走塁面」だ。日米通算708盗塁と「足」でも際立つ記録を残してきた同氏の教えが心構えの根幹にある。「香西投手の投球の動画がネットに上がっていたので、右打者にはチェンジアップが多いと選手、コーチと話していた」。相手の傾向を頭に叩き込み、レジェンドの教えを胸に、確信を持って走った。

 戦前に2度の優勝経験がある古豪。久々に8強の舞台までコマを進めた。「ベスト8というのは、なかなかなれなかったことをチームで果たせた。イチローさんが教えてくれたことをした結果でもある。“ありがとうございました”と伝えたい」。あと3勝。頂点に立って、分厚い胸を張り、新たな野球観を教えてくれた恩人に感謝を伝える。

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