「応援されるチームに」明秀学園日立が宿舎で見せた姿 大浴場我慢で果たしたベストメンバー勝負

[ 2022年8月15日 11:30 ]

第104回全国高校野球選手権・3回戦   明秀日立4―5仙台育英 ( 2022年8月15日    甲子園 )

<仙台育英・明秀日立>仙台育英に敗れ、肩を落とす明秀日立ナイン(撮影・坂田 高浩)
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 春夏連続出場で、夏は初出場の明秀日立(茨城)が3年ぶり29回目出場の仙台育英(宮城)と対戦し、4―5で敗戦。春夏通じて初の8強入りはならなかったが、最後まで粘り強い戦いを見せた。

 アマチュア担当記者の私は4日、甲子園取材のために千葉から大阪へ向かった。宿泊するホテルの前に到着すると驚いた。練習を終えた明秀学園日立の選手がバスから降りて続々とホテルに入っていく。もちろん感染症対策のため選手への接触、取材は禁止。それに宿泊施設は、選手にとっても記者にとってもリラックスする場所だ。痛恨の選択ミスに「かぶってしまった…」と後悔した。

 だが、幸運だった。明秀学園日立が目指している「応援されるチーム」であることを実感できたからだ。32階まである高層ホテル。5つあるエレベーター前は行列になりがちだ。選手たちは後ろに人が並ぶと「おい、一般のお客さん優先だぞ」と声を掛け合い、順番を譲っていた。他の宿泊客が来て、何度も何度も譲ることになっても嫌な顔一つしなかった。

 大浴場が売りのホテルでもある。それでも選手たちは感染予防のために利用せず、部屋の小さな風呂を使用した。買い物はホテルの2階にあるコンビニですませ、練習以外は外出しない万全の感染対策でベストメンバーの出場につなげた。

 試合後、涙を流す選手たちの顔に、後悔の色はなかった。(柳内 遼平)

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