大谷翔平との長期契約はエンゼルスにとって複雑な方程式…解くのは困難

[ 2022年6月15日 08:52 ]

エンゼルス・大谷翔平
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 スポーツ専門サイト「ジ・アスレチック」のケン・ローゼンタール記者が、14日(日本時間15日)エンゼルスにとって大谷翔平との長期契約は複雑な方程式で、簡単ではないと報じた。

 現行の2年850万ドル(約11億4900万円)の契約は今季までで、このオフは、大谷に最後の年俸調停の権利があり、23年シーズン後には初めてFA権を獲得する。情報筋によると先のキャンプ終盤に、エ軍は大谷のネズ・バレロ代理人と非公式に契約延長の話しをして、大谷と契約するには、現在の球界の平均年俸最高額、シャーザーの4330万ドル(約58・5億円)を越える必要があると理解していると伝えたそうだ。

 しかしながらオファーへとは向かわなかった。MVPを取った直後で、価値がピークにあったからだ。交渉に弾みがつくことはなかった。現在27歳の大谷は、29歳でFA権を得て、たぶん二刀流を続ける。そして健康であれば、年平均でも総額でもMLB史上最高の契約に値する。エ軍は当然彼を引き留めたい、しかしながら、トラウトとレンドンの契約もあり、仮に大谷の新契約が平均年俸4500万ドルだとすると、アート・モレノオーナーは23年から26年の間に、3人だけでも年に1億2000万ドル(約162億円)近く払うことになる。エ軍のチーム総年俸の最高は今季の1億8860万ドルだ。ちなみにモレノオーナーは労使交渉中に、機構側が贅沢税の基準額を上げようとしたときに反対した4人のオーナーの内の一人。基準額が上がれば、メッツ、ドジャース、ヤンキース並みにお金を使えとプレッシャーが高まると、本人が危惧したからだろう。

 モレノオーナーは近年プホルス、ハミルトンとの長期契約がうまく働かなかったし、現在のトラウト、レンドンとの長期契約も2人が30代になり、けがによる離脱の心配が増している。一方で、大谷自身の気持ちもある。大谷は今年1月に現行の契約が終わるまで延長の話はしたくないと語ったが、現在のエ軍の不振が続くなら、このオフの話し合いはもっと厳しくなる。昨季終了時点、大谷が「チームもファンも雰囲気も好きだが、それ以上に勝ちたい。それが自分には一番大きい」と話していたからだ。

 そもそも今のこのチーム状況では、契約延長交渉について論じるのは時期尚早かもしれない。今季もプレーオフに出られなければ、エ軍も大谷も再契約への意欲が減少するかもしれない。延長がないのなら、エ軍は大谷をトレードして若手プロスペクトと交換するかもしれない。さらにモレノオーナーがチームを解体し、再建に着手するかもしれない。トラウトの契約には完全なノートレード条項が入っているが、再建のチームにいるよりは、トラウトも優勝争いができるチームに行きたいかもしれない。ローゼンタール記者は「エンゼルスはプレーオフに出る必要がある。大谷のため、トラウトのため、球団の未来のため」と締めくくっていた。

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2022年6月15日のニュース