ヤクルト無双の裏に「高津流マネジメント」 野村イズムの継承、中6日にとらわれない柔軟な思考

[ 2022年6月11日 19:25 ]

交流戦   ヤクルト7―4ソフトバンク ( 2022年6月11日    ペイペイD )

<ソ・ヤ>ファンへの挨拶を終え引き揚げる高津監督(撮影・中村 達也)
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 ヤクルトが11日、2018年以来2度目の交流戦優勝を決めた。セ・リーグチームの複数回優勝は巨人(12、14年)に並んで2チーム目。また、ソフトバンクに連勝したことで交流戦全カード勝ち越しも決め、18試合制となった15年以降では初の完全Vとなった。交流戦史上でも09、11年のソフトバンクに次ぐ2球団目、3度目でセ・リーグ初の快挙となった。昨年のリーグ優勝、日本一に続きタイトルを獲得したヤクルトの強さの裏には「高津流マネジメント」があった。

 「17分の6」。ヤクルトが今年の交流戦で先発した投手が、中6日でマウンドに上がった割合である。サイスニードが3回で、小川が2回、原が1回。残り11回は全て中7日以上だった。高津監督は交流戦前から「少しでも間隔を空けてあげたい。できるだけ良い状態でマウンドに上げてあげたい」と語り、コンディションを最重要視してきた。

 今季のヤクルトは、先発投手に可能な限り中7日以上を組み込む起用法に徹している。61試合を終え、中6日先発は12球団最少の15度。41度で最多の西武の半数以下だ。また、ヤクルトの中5日先発は今季まだない。

 登板数が減るため、現時点の規定投球回到達者は小川のみ。日本一に輝いた昨年も9勝を挙げた奥川を原則的に中10日とするなど、規定投球回到達者はゼロだった。全てはシーズン終盤に少しでも良い状態で投手陣を起用したい狙いがある。

 「中6日」にとらわれない柔軟な思考は恩師に通じる。現役時代に薫陶を受けた野村克也元監督は「先発完投」が主流だった南海監督時代に投手分業制を定着させた。「野村監督は“常識を疑え”と。何が正解かはやってみないと分からない。そこを想定しながらことを進めていく野球は受け継いでいるつもり」。固定観念に縛られない起用法で防御率はリーグ2位の2・78を誇る。

 救援陣も同様。ここまで交流戦の雨天中止もない中、今季の3日連続登板はマクガフの1回(3~5日の西武3連戦)のみだ。9日のオリックス戦も1点差の終盤に清水、マクガフの勝ちパターンを温存。木沢や新外国人コールら5投手が無失点でつなぎ、指揮官は「今日投げたメンバーだって十分に最後まで投げきれると証明してくれた」と話した。

 12球団ワーストの防御率4・61と低迷した2年前から、高津流マネジメントで生まれ変わった。投手王国形成へ、交流戦優勝は通過点に過ぎない。

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