亀山つとむ氏 貧打の虎に「1点を搾り取る野球を」 どんな手段でも先制することが大事 キーマンは近本

[ 2022年6月10日 07:00 ]

交流戦   阪神0―4ソフトバンク ( 2022年6月9日    ペイペイD )

亀山つとむ氏
Photo By スポニチ

 【亀山つとむ 視点】勝ち続けることはできないが、負け方にも工夫が欲しい――。本紙評論家・亀山つとむ氏が9日、ソフトバンク戦で今季15度目の零敗を喫した阪神に対し、チームとしての対策の必要性を訴えた。7日までの6連勝の勢いはいずことばかりに、2試合連続の無得点。目前の最下位脱出、そして交流戦後の巻き返しに向けて「1点を搾り取る野球」の構築が急務とし、そのキーマンにリーグトップ70安打の近本を指名した。

 62試合を終えて15度目の零敗とは、いかにも多すぎる。完封負けでも、9―10でも負けは負けじゃないか――そう言われるかもしれないが、野球は得点を競うスポーツ。点が取れない時点で、勝つ望みは消える。チームにとっても零敗は、どうしても重たい荷物になってしまう。

 阪神は先制した試合で、ここまで19勝10敗としっかり勝ち越している。先に得点すれば、リーグトップのチーム防御率を誇る投手陣が機能し、勝ちパターンにつなげることができている。ならば、どんな手段でもいいから、先制することにチームで取り組むべき。「1点を搾り取る野球」に首脳陣も選手も徹する必要がある。

 2点をリードされた4回、先頭の島田がセーフティーバントに成功。盗塁も決めて、揺さぶりをかけた。相手先発レイも明らかに動揺していた。投げ急ぎ、制球も浮き始めた。ここで一気に圧力をかけていれば流れはどうなったか分からない。

 だが、中野が投ゴロで島田が飛びだし、二塁と三塁の間に挟まれ憤死。近本も同じように1死二塁から投ゴロで、リプレーを見ているような挟殺プレーが続いた。ここは相手が嫌がることを続けてほしかった。中野にもう一発セーフティーバントを仕掛けさせたら、レイのいら立ちはピークに達していたと思う。1番から3番まで、せっかく足のある選手をそろえている。その武器を最大限に活用する方法を、ベンチも選択してほしかった。3回無死一塁では高寺を打たせたが、ここも、しっかりと送らせる場面だった。

 打線全体が好調という状況ではない。レイに対して、立ち上がりの3イニングは38球中、14ファウルで12のストライクを与えた。粘ったファウルではなく、とらえきれずにカウントを苦しくするファウルだった。連打を期待するより、足を絡めた攻撃を進化させることが、今後のポイントだ。

 最下位脱出、そして借金返済のキーマンは近本とみている。リーグトップの70安打を記録したが、二塁打、三塁打はまだ少ない。足を生かしながら、ここ一番で秘めた長打力を発揮すれば、打線も活気づく。数字的にも、上位進出は可能。動く野球で、相手を苦しめていくことが肝心だ。

 【データ】○…阪神が2試合連続で今季15度目の零敗。62試合目はシーズン143試合で換算すれば34度ペース。チームのワーストは63年の24度で、プロ野球記録の56年大洋(現DeNA)と東映(現日本ハム)の31度も上回る。交流戦で4度目は広島、中日と並んで今季最多。18試合制となった15年以降の最多は16年オリックスの5度。

続きを表示

この記事のフォト

2022年6月10日のニュース