日本ハム・新庄監督「ジーンとくるものあった」16年ぶり甲子園で大逆転負けもファン魅了

[ 2022年6月4日 06:00 ]

交流戦   日本ハム7―9阪神 ( 2022年6月3日    甲子園 )

<神・日①>メンバー表の最終確認を終え、ライトスタンドの阪神ファンに帽子を掲げる新庄監督(撮影・北條 貴史)
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 顔に当たる浜風。土や芝生の匂い。全てが懐かしい。引退した06年以来16年ぶりの甲子園は、監督として帰ってきた日本ハム・新庄監督を温かく迎え入れてくれた。試合は就任後最大となる6点リードの7―1からの大逆転負け。8回を託した堀が、押し出しを含む2四球など乱調で4失点と誤算だった。だが、最後の最後までファンを喜ばせた指揮官に悲愴(ひそう)感はなかった。

 「負けたのは実力不足だけど、ファンには物凄く面白い試合だったのはうれしい。懐かしいな。この大歓声の中でずっとやっていたんだってジーンとくるものがあった」。かつての庭で今季最多4万2574人のファンを魅了。充実感でいっぱいだった。

 監督室に入ると「ここに座っているのはめちゃくちゃ変な感じがした」と話した。試合前には阪神ファンに帽子を取り、心の中で「ありがとう。監督として帰ってくることができました。今日はいい試合を見せます」と誓った。そして試合が始まると、奇策の連発で采配がさえ、教え子たちが躍動した。

 2点リードの3回、先頭の万波が中堅左へ推定130メートルの超特大弾。高校時代になかった甲子園アーチで初の2桁となる10号ソロを「行っちゃったばい!」と福岡出身の指揮官ばりに博多弁で喜んだ。なおも無死満塁で上川畑が初球スクイズに成功。1死満塁の宇佐見の打席では、全走者がスタートを切るヒットエンドランで2点追加した。「乗ってきているから、いろんな作戦で早めにたくさん点を」と指揮官。敵地はどよめきの連発だったが、上川畑は「ビッグボスの野球では、絶対に(スクイズが)あると思っていたので、準備できていた」と新庄野球がナインに浸透していることを示した。

 「今日やられたので、明日はこれの逆。盛り上げて楽しませて1勝1敗で、3つ目また面白いゲームしたいけど、心臓がやられちゃう」と笑った指揮官。この屈辱さえも、指揮官のイズムが浸透し始めた今の若いチームならば肥やしとできるはずだ。(東尾 洋樹)

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