ヤクルト・山崎 大仕事も…変わらぬ謙虚な姿勢 愚直な男の視線の先にあるもの

[ 2022年5月28日 09:00 ]

25日の日本ハム戦の9回、サヨナラ3ランを放ったヤクルト・山崎はヘルメットを投げ歓喜の輪に飛び込む(撮影・村上 大輔)
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 まだコロナも流行する前だった2017年。ヤクルト・山崎晃大朗外野手を対面取材する機会に恵まれた。「僕なんかでいいんですか?」と謙虚な人柄に惹(ひ)かれた。当時の山崎は守備固めや代走を主な働き場とし、1軍定着を目指していた。

 「試合だけではなくてベンチでの声出しもそうですし、練習中もそうですし、声を出してチームを盛り上げるとか、自分にできることをやっていきたいと思っています」

 空気を察し、持ち前の明るいキャラクターでチームを和ませた。報道陣にも自ら話しかけるなど、気配りの選手という印象だった。ルーキーイヤーだった前年はわずか7試合の出場で打率・167。それでも2軍では規定打席に到達し、38盗塁でタイトルも獲得。売り出し中の身だった。

 2017年も1軍昇格は優勝の可能性が消えていた夏場以降。通常の練習や試合だけでなく「若手ですし、体力だけが取りえです」と早出練習や試合後の素振りなど豊富な練習量で技量を磨いていた。「やっぱり1軍のピッチャーは失投が少ないので、それをどうやって一振りで仕留めるか。そういうことを考えながら練習しています」と語ってくれた。

 今年の交流戦2戦目となった25日の日本ハム戦(神宮)。2点を追う9回無死一、三塁からサヨナラ3ランを右翼席に運んだ。それまでプロ7年間で本塁打数は5本。そんな男が前夜に続く、球団では1978年以来の2試合連続サヨナラ勝利を呼び込んだ。自身初の大仕事にも「3ランというのがパッと出てこなくて。塩見がずっと喜んでくれていたので、それで、あっサヨナラか、って」と昔も今も変わらない謙虚な姿勢があった。

 サンタナの負傷離脱もあり先発起用も増えてきた。守備、走塁面の安定感はピカイチ。打撃が好調を維持できれば、レギュラー定着の可能性だってある。愚直に野球に取り組んできた山崎の視界には、定位置奪取がはっきりと見えているはずだ。(記者コラム・川手 達矢)

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