森繁和氏 エンゼルス・大谷の放った2発は理想的 手元まで球を引きつけ見極めができていた

[ 2022年5月11日 02:30 ]

ア・リーグ   エンゼルス11―3レイズ ( 2022年5月9日    アナハイム )

〈エンゼルス・レイズ〉逆方向へ2本の本塁打を放ったエンゼルス・大谷(AP)
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 【森繁和氏が見た大谷の打撃】投手の立場からすれば、真ん中から外角寄りの球を中堅から逆方向に打たれるのは一番嫌なもの。左対左なら引っ掛けさせてゴロにしたい。その投手の思惑を木っ端みじんにしているのが今の大谷だ。前回(4月15日レンジャーズ戦)の1試合2本塁打も見ていたが、状態はまるで違う。完璧な2本だった。

 大谷だけに限った話ではないが、なぜ逆方向への打撃が有効なのか。大リーグでは投手の球が強く、かつ打者の手元で微妙に変化する。普通に打てばゴロになってしまう球を、できるだけ手元に引きつけて、変化を見極めた上で逆方向に――。この打撃が求められる。大谷の2本塁打は理想的だった。

 2打席目の中前にポトリと落ちた幸運な安打も、左投手の外角に逃げていくスライダーを無理に引っ張りにいかず、中堅方向への強い意識が垣間見えた。前日の9回の左中間への同点二塁打もそう。この打撃なら…と思って見ていたが、3打席目では同じく左投手のスライダー系を今度は左中間スタンドへ。左翼への満塁弾もボールを見事に「かち上げ」た、大谷にしか打てない一発だった。

 11日(日本時間12日)には4勝目を目指した登板が待っている。打撃の調子が上がってきた中でのマウンド。どんな相乗効果があるかも楽しみにしている。(本紙評論家)

 ≪調子のバロメーター≫大谷は46本塁打した昨季、33発を放った前半戦で中堅から左翼方向へ13本塁打。メジャー自身月間最多本塁打だった6月は13本中、5本が中堅から左だった。「中堅から左」は調子のバロメーター。7日ナショナルズ戦以降の3試合では、全13打席から三振と四球(各1)を除いた11打席中、この日の第1打席(右飛)以外の10打席で中堅から左翼方向に打球が飛んでいる。

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2022年5月11日のニュース