【スポニチ潜入(3)阿南光・森山暁生】中日・大野雄タイプの本格派左腕 伸びしろ秘める有望株

[ 2022年5月3日 08:00 ]

本格派左腕の阿南光・森山暁生

 アマチュア野球の有力選手を紙面、公式サイト「スポニチアネックス」、YouTube「スポニチドラフトチャンネル」において取り上げる「スポニチ潜入」の第3回。阿南光・森山暁生投手(17)は力強い腕の振りから投げ込む140キロ台中盤の速球と落ちるツーシームを武器にする、中日・大野雄タイプの本格派左腕。1メートル82、85キロと体格にも恵まれ、大きな伸びしろを秘める有望株だ。 阿南光・森山暁生投手の動画はこちら

 少し粗さが残る躍動感あふれるフォームから、力強いボールを捕手のミットに叩きつける。すでに直球は140キロ台中盤を計測するが、まだ完成形ではない。その伸びしろこそが森山の最大の魅力と言えるかもしれない。

 1メートル82、85キロと体格に恵まれ、現時点でも四国地区担当のNPB球団スカウトから「今年の四国では群を抜いた存在」と評価を受ける本格派左腕。だが本人は、さらなる高みを見据え進化の途上にいる。目下の課題は上半身頼みのフォームからの脱却。「もっと下半身を使えるように心がけてやっています」。投球時に踏み出した右足の膝が外に開いてしまう悪癖を自覚しており、オフ期間は特に、その修正に時間をさいた。体の開きを抑えることで、抜け球を減らすためだ。加えてこれまで外側に逃げていた体の力をボールに伝えられるようになれば球威アップも見込める。「夏には150キロは投げたい」と意気込む。

 持ち味は球威抜群の直球と、その直球と同じ腕の振りと軌道から打者の手元で鋭く落ちるツーシーム。2年夏の大会前、練習試合で対戦した今秋ドラフト上位候補の高松商・浅野翔吾にも「あのツーシームは打てません。これまで対戦した中で一番いい左投手と思いました」と言わしめたほどだ。その武器にいっそうの磨きを掛けるべく、同じ左腕で、速球と落ちるツーシームを武器とする中日・大野雄大の投球をYouTubeで研究するなど、さらなるスケールアップに余念がない。加えてオフ期間には新球種チェンジアップ習得とカーブの精度向上に取り組み、投球の幅拡大も模索した。

 投球の土台となる身体能力も高い。「背筋を使うトレーニングは人よりも強いです」と話すように、デッドリフトは最高175キロを上げる。投手ながら、スイングスピードも最速144キロを誇る。理に適った体の使い方で力を発揮しないと、計測できない数値だ。高校入学時の数値が130キロ前後だったというから、成長の跡もうかがえる。左右の握力も60キロ以上あり、それが力強いリリースを可能とする。

 2年夏に「大海」を知った。自身初の甲子園では、初戦で沖縄尚学に0―8と大敗。森山自身8回13安打8失点と打ち込まれ、全国レベルを痛感した…はずだった。ところがあれだけ強かった沖縄尚学が2回戦で盛岡大付に敗れ、その盛岡大付も続く3回戦で姿を消した。「まだ自分が知らない世界というのがもっとあるんだな、というのは知ることができました」。新たなモチベーションを胸に、改めて聖地を目指す。

 高校進学時には甲子園出場経験のある県外の強豪私学3校からも誘いを受けたが、「自分のことを一番必要としてくれている」と地元・阿南光への進学を決めた。中山寿人前監督(現総監督)、高橋徳監督の情熱に応え、「2人と一緒に甲子園に行きたい」という目標は、2年夏に達成した。だが、これで満足はできない。次は「甲子園で校歌を歌う」がチームの合言葉だ。

 今年の個人的目標は2つある。「やっぱりプロになりたいというのもあるし、(U―18の侍ジャパンに)選ばれてみたい気持ちはあります」。その達成のため、徳島から光輝く存在感を放つ。(惟任 貴信)

 ◇森山 暁生(もりやま・あきお)2005年(平17)1月11日、徳島県出身。小学3年から野球を始め、中学ではヤング徳島ホークスで投手兼左翼手として2年時に全国大会出場。阿南光では1年夏の県独自大会から背番号17でベンチ入り。2年春から背番号1。同夏にエースとして甲子園大会出場も初戦敗退。50メートル走6秒5、塁間走3秒82。1メートル82、85キロ。左投げ左打ち。

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