大谷が自ら駆け寄ってあいさつした選手とは…「接する人全てに敬意を払う」

[ 2022年4月28日 09:00 ]

15日のオリオールズ戦の試合開始直前、テート(右)と抱き合うエンゼルス・大谷(撮影・光山 貴大)
Photo By スポニチ

 珍しい光景だった。大リーグでエンゼルスの大谷に駆け寄ってくる選手は多いかもしれないが、大谷が自ら駆け寄っていく選手は片手で数えるくらいだろう。

 15日のオリオールズ戦の試合開始直前。大谷はブルペンに向かうオ軍救援右腕テートの元へ走って向かい、ユニホームの背中部分をつかんで引っ張った。驚いたような表情を見せたテートはすぐに笑顔になり、ハグを交わすと、しばらく2人で話し込んでいた。

 「大谷からのあいさつは予想していなかったので驚いたよ。クールな瞬間だったね。僕の叔父が小さな子供たちのために募金活動をしているので、何かサインをしてくれるかどうか確認しました」とテート。実は2人は同じ代理人事務所「CAAスポーツ」に所属し、同じ94年生まれの27歳。このオフはシアトルが発祥で、アリゾナにも拠点を構えるトレーニング施設「ドライブライン・ベースボール」でともに自主トレを積んだ仲で、ライブBP(実戦的な打撃練習)で対戦することもあったという。大リーグは労使交渉が長期化し、キャンプはおろか、開幕時期すら見えなかった。そんな中、ともに励まし合ったテートはチームは違えど“戦友”だった。

 テートは15年ドラフト1巡目(全体4番目)でレンジャーズに指名された有望株で、19年にオリオールズでメジャーデビュー。昨季はキャリアハイの62試合に登板するなど中継ぎとしてブレーク。今季もすでに8試合に登板している。

 「大谷は素晴らしい人間だ。彼は接する人全てに敬意を払っている。誰に対しても同じように接することができるのは、僕が尊敬していることの一つだよ」。人懐っこい笑顔で、丁寧に取材に応じる姿はこちらが恐縮するほど。テート自身も「接する人全てに敬意を払う人」だった。大谷が自ら駆け寄るほど慕う理由も分かった気がした。(記者コラム・柳原 直之)

続きを表示

2022年4月28日のニュース