楽天・西川 かつての“庭”で躍動 1死二、三塁の左飛で三走生還前に三塁で二走刺す好判断

[ 2022年4月9日 05:30 ]

パ・リーグ   楽天3―0日本ハム ( 2022年4月8日    札幌D )

<日・楽>3回、野村の左飛を捕球後に送球する西川(撮影・高橋 茂夫)
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 守備で、バットで、走塁で、痛烈な「恩返し」だ。昨季終了後に日本ハムを自由契約となった楽天・西川遥輝外野手(29)が8日、移籍後初の古巣との対戦で、攻守に躍動した。3回の左翼守備では好判断&好送球で補殺を決めて失点を防ぐと、4回には貴重な追加点となる右前への2点適時打を放って二盗もマーク。チームを今季2度目の3連勝に導いた。

 慣れ親しんだ札幌ドームだからこそ、瞬時の好判断が生まれた。楽天は1点を先制した直後の3回、先発・早川が連打を浴びて1死二、三塁とされた。失点すれば相手に流れが傾きかねない場面。窮地を救ったのが、移籍後初の古巣との対決に燃えていた西川だ。野村が打ち上げた飛球を左中間付近で捕球し、走者が2人ともタッチアップでスタートしたのを確認した。

 「(三塁走者が俊足ではない)宇佐見だったので、ホームに投げようと思ったけど思ったよりも捕った位置が後ろだった。(二走)上野がタッチアップに入っていたのでサードに投げました」

 中堅方向に追って捕球する瞬間、次の塁を狙う上野の動きを視界の片隅で捉えていた。即座に、バックホームではなく三塁への送球を選択。宇佐見の生還より早く上野をアウトにし、併殺でこの試合最大のピンチを無失点で切り抜けた。捕球位置や体勢、走者の動きを含めた冷静な判断が光った。佐竹外野守備走塁コーチは「あのまま本塁に投げてもセーフだった。周囲がよく見えたプレーだった」と称えた。

 「北海道でやるのは凄く嫌だった。僕の全てを知っているので、目の色を変えて抑えにくるだろうし」

 本音を言えば、かつての仲間たちと戦いたくはない。だが、移籍時に誓った楽天の勝利のために尽くすプレーを連発した。好送球の直後の4回の攻撃では、1死二、三塁で右前に2点適時打。すぐさま二盗を成功させた。かつての本拠地で、水を得た魚のように暴れ、攻守でチームの3連勝に貢献した。

 北海道のファンの温かさを改めて感じた一日だった。初回の第1打席。球場全体が大きな拍手に包まれ、スタンドの至る所にピンク色の応援タオルが掲げられた。「凄くうれしかった。応援は力になりますね。常に元気な姿を見せていきたい」と西川。ライバルとして日本ハムの前に立ちはだかることが、恩返しだと信じている。(重光 晋太郎)

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2022年4月9日のニュース