「みなさんの落ち込んだ姿をもう見たくない」 広島・栗林を変えた1敗 集中力の次元に変化あり

[ 2022年4月8日 07:20 ]

広島・栗林
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 広島・栗林良吏投手(25)の表情は、心の中を映す鏡になっている。自信があるのか少し不安なのか、集中できているのか焦っているのか。大体のことは顔に書いてある。

 開幕直後は、昨季のような鬼気迫る表情ではないように見えた。自分自身を信じ切れていなかったのかもしれない。「オープン戦から自分の結果ばかり気にしていた。リリーフのみなさんは結果を出しているのに、自分だけ結果が残っていなくて…」。今季登板3試合目だった2日の中日戦では、1点優勢の延長12回に登板するも1死しか奪えずにサヨナラ負け。不安が現実となった。

 そして、黒星後の初登板となった5日の巨人戦。突然、顔つきが変わった。2点優勢の展開に関係なく、極限まで集中力を高めていることが鋭い目つきから伝わってくる。先頭打者を失策で出塁させながら後続を3人で片付けた。「今年で一番集中した。気持ちの入ったマウンドになった」。表情が変わると結果も伴った。

 気持ちで投げるタイプの投手である。本人いわく「ブルペンでは全力で投げても140キロぐらいしか出ない。それが打者が立つとスイッチが入る」。今季初黒星からの帰広後、妻・沙耶さんの落ち込んだ姿や同僚からの温かい言葉に奮い立ち、「自分と勝負するのではなくて相手と勝負しようと思った」と完全にスイッチが入った。

 仕切り直しとなった5日の巨人戦後には、「みなさんの落ち込んだ姿をもうマウンドから見たくない。自分はチームの思いも背負って投げたい」と力を込めた。これまでの迷いが消え、どこか吹っ切れた表情に映った。本調子を取り戻したのかは今後の投球次第。それでも、開幕直後に比べて心の中はポジティブに変わった。(記者コラム・河合 洋介)

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2022年4月8日のニュース