中日・高橋宏 20年‘幻の春夏甲子園’に泣いた19歳高卒2年目 球団71年ぶり勝利打点&プロ初勝利

[ 2022年4月8日 05:30 ]

セ・リーグ   中日11ー3ヤクルト ( 2022年4月7日    神宮 )

<ヤ・中>6回、オスナを三振に打ち取り吠える中日・高橋宏(撮影・篠原岳夫)
Photo By スポニチ

 高卒2年目の中日・高橋宏斗投手(19)が7日のヤクルト戦で6回を6安打3失点と好投し、先発2試合目でうれしい初勝利を挙げた。打っても2回に逆転の2点適時打を放ちプロ初安打、初打点を記録。自らの勝利打点でプロ初勝利を飾るのは球団では71年ぶりの快挙だ。将来のエース候補が投打で躍動し、チームは昨年2勝9敗1分けと鬼門だった神宮3連戦で勝ち越し。勝率を5割に戻した。

 ベンチ前で立浪監督に祝福されると19歳の目はみるみる細くなった。初勝利と初安打、両手に記念球の高橋宏が最高の笑顔で拍手に応えた。

 「ストレートが思い通りに投げられた。監督には7回も行けと言われましたが、落合さん(ヘッド兼投手コーチ)からラスト1回死ぬ気で投げてこいと言われたので、6回は死ぬ気で投げました」

 中京大中京2年秋に明治神宮大会で優勝投手となった思い出の地で投打にわたる大活躍だった。マウンドでは最速152キロの直球で押した。初回1死二塁から山田に先制打を許したが、続く村上は内角高めの150キロで空振り三振。6回は2死一塁からオスナをスプリットで空振り三振に仕留めてほえた。

 打席では2回1死満塁、プロ21年目42歳の石川の直球をとらえ中前に抜ける逆転打。初安打初打点が決勝点となり「飛んだところが良かった」と照れた。

 1年目は故障もあり1軍登板はなし。オフは福谷に弟子入りして、三重県のスポーツクリニックで体の動きを学んだ。その際に投球時に踏み込む左膝が開くフォームがメッツのエース、ジェイコブ・デグロムと似ていると指摘された。左膝の開きは弱点だと思っていたが、膝の使い方が同じ大投手の存在に勇気をもらった。デグロムを参考にテイクバックをコンパクトに修正。これでフォームが安定し、力感がなくても球が走るようになった。

 この世代は春夏ともにコロナ下で甲子園が中止となった「ロストジェネレーション」。高橋宏も公式戦無敗のまま高校生活を終えたが、甲子園は交流試合の1試合のみ。プロ入りした同世代の中では一番乗りで勝利を挙げ、無念を晴らした。

 この日の登板は小笠原が新型コロナウイルスに感染した影響もあり回ってきたものでもあった。「(小笠原)慎之介さんに良い報告をしようと思う。これからも良い準備をしてもっと良い投球をしていきたい」。未来のエース候補が力強い一歩を踏み出した。(中澤 智晴)

 ▽20年春&夏の甲子園大会 1月24日にセンバツ出場校が発表されたが、2月以降に国内でコロナ禍に。臨時運営委員会は一度は無観客での開催方針を示したが3月11日に中止を決定した。その後も感染拡大による部活動の停止なども考慮し、5月20日には夏の甲子園及び地方大会の中止が決まった。6月10日の常任理事会ではセンバツ出場校32校を甲子園球場に招待することが決まり、8月10~17日に各校1試合限定での交流試合が開催された。

 ○…高卒2年目で19歳7カ月の高橋宏(中)がプロ初勝利。相手先発の石川(ヤ)は42歳2カ月。10代投手が40代投手と先発で投げ合って勝利するのは、10年4月4日に伊藤準規(中=19歳2カ月)が下柳剛(神=41歳10カ月)に投げ勝って以来12年ぶり。

 ○…2回には決勝の2点適時打。自らの勝利打点でプロ初勝利を飾るのは、名古屋時代の51年8月26日国鉄戦に入団2年目の加藤一昭がマークして以来、チーム71年ぶり。

 ◇高橋 宏斗(たかはし・ひろと)2002年(平14)8月9日生まれ、愛知県尾張旭市出身の19歳。三郷小2年から「三郷ファイターズ」で野球を始め投手兼遊撃手。6年時にドラゴンズJr入り。尾張旭東中では「豊田シニア」でプレー。中京大中京では2年秋の明治神宮大会で優勝。20年ドラフト1位で中日入り。1メートル86、86キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

この記事のフォト

2022年4月8日のニュース