リーグ3連覇知らない世代に経験伝えたい「味わってみないと分からない」 広島・会沢インタビュー(下)

[ 2022年2月10日 07:00 ]

スローイング練習する広島・会沢
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 (上からつづく)

 ――4番の鈴木誠也が今季はいません。チームはどう変わるのでしょうか。どう変わらなければいけないか。2016年は前田健太が抜け、翌17年は黒田博樹が現役引退して優勝しました。当時を知る主力として、この状況をどう考えますか?
 「4番打者が抜けるということは、チームの軸が抜けるということですからね。全員でその穴を埋めていかないといけない。1人では埋まらないですよ。誠也はそれぐらいの成績を残している。振り返ると、チームが強い時って、やっぱり日替わりヒーローが出てくるんです。そうなるのが理想ですよね。同じ選手が毎回活躍するのもいいけど、現実的には難しいので」

 ――エース格の2人の投手が抜けるのと、4番打者が抜けるのとでは違いますか?
 「違います。打者で日替わりヒーローが出てこないとキツいと思います。だから、俺が、俺がという気持ちを持つことが、凄く大事だと思うんです。若い選手は特に。そこで、ググッと(突き抜けて)いってもらう。僕も、必要があれば若い選手のお尻をひっぱたくし、言うことは言わせてもらうので。メリハリをつけながらね」

 ――そういう役割も求められています。
 「求められているのは、やっぱり試合に出ることだと思うんです。ただ、長年やっていることの意味も、僕なりに理解しているつもりです。周りのことに目を配る。言いにくいことでも、時には言ってあげなくちゃいけない。それも僕の仕事の一つだと思っています。もちろん、困ったことがあれば助けますしね」

 ――投手陣は大瀬良、九里が残留し、若い森下、栗林がいます。セットアッパー確立の課題はあるとしても、全体では弱い投手陣とは言えないのでは?
 「十分にそろっていますよ。でも、今季に関して言うと、僕は後ろのリリーフ陣よりも先発陣の方がキーになると思いますね。なぜなら、延長が12回になるので。先発投手には最低でも7回、8回まで投げてもらいたい。栗林が毎試合、2イニングなんて投げられないんだから、そうなってくると、先発投手がいかに長いイニングを投げてくれるか…が鍵になる」

 ――なるほど。
 「2019年までの野球に戻ったというだけなんですが、昨季の9回までの戦い方は忘れないといけないと思いますね」

 ――投手陣の中核をなす森下、栗林は、東京五輪で金メダルを獲りました。どんなふうに映っていましたか?
 「いやー、本当にいい経験をしたと思いますよ。あのプレッシャーの中で投げられたことは貴重だし、財産になると思います。昨季の終盤は(五輪の)疲れがあったと思いますけどね。できれば、それを今季に…ね。チームが優勝争いをしている中で投げると、また違う緊張感があるし、そういう経験もしていくと、ひと回り成長できると思う。経験させてあげたいという気持ちもありますしね」

 ――リーグ3連覇を知らない世代が増えました。経験したことをどう伝えますか?
 「こればかりは、味わってみないと分からないんですよ。“ビールかけはいいぞ”“優勝旅行は楽しいぞ”と言われても、僕も優勝するまではピンと来なかった。だけど、一度でも味わうと、その良さが身に染みる。それは経験しないと分からない。ただ、どうやって勝っていったか…ということは、分かっているつもりです」

 ――と言いますと?
 「当時は走攻守のバランスが良かったし、何より打ち勝っていきましたよね。捕手の立場で言うと、3点、4点取られても楽だったですから。それよりも重要なのは、全員が同じ方向を向いて戦っていたということ。要はチームがどれだけ団結するか…なんですよ。そこは伝えていきたいと思います。口で言うのは簡単ですが、行動でも示しながらね」

 =終わり=

 ▽会沢の昨季の故障 5月3日に下半身のコンディション不良を訴え、同日の巨人戦を欠場。4日に出場選手登録を外れた。6月3日に戦列復帰も、直後の15日西武戦8回の守備で左足を負傷。左下腿(かたい)の「腓腹(ひふく)筋挫傷」で翌16日に再び登録抹消。同日に内定が発表された東京五輪の日本代表入りを辞退している。復帰は8月29日の阪神戦だった。

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