松坂大輔氏の“怪物スライダー論”宝刀極意を巨人・戸郷に伝授「大事なのは曲がり幅じゃない」

[ 2022年2月4日 05:30 ]

戸郷(中央)にスライダーの投げ方を指導する松坂氏。右は原監督(撮影・森沢裕)
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 【平成の怪物が行く 松坂大輔の探球】怪物スライダーを惜しみなく伝授した。昨年限りで現役を引退した松坂大輔氏(41=スポニチ本紙評論家)が3日、巨人の宮崎キャンプを訪問。4年目の戸郷翔征投手(21)にスライダーの投げ方を直接指導した。ボールの握りや、リリースの仕方などを細かく伝えた一方で、(1)鉄則として腕の振りは変えない(2)曲げようと思わない、など「平成の怪物」が持つスライダーのレシピを余すところなく伝えた。

 戸郷投手はスライダーの曲がり幅を気にしていました。彼に伝えたのは「大事なのは曲がり幅じゃないよ」という点です。重要なのは内外角への投げ分け。直球の軌道で来たものがちょっと沈んだり、横に滑ったり。それに打者が戸惑う。だからこそスライダーは武器になるんです。

 原監督からも「気になることがあったら言ってくれ」と言われました。戸郷投手には自分が現役時代に投げていたスライダーの握りと、彼の投げ方を見て投げやすそうな握りを教えました。縫い目への指の掛け方、親指の位置とかですね。手首の使い方も伝えました。フォームを見ているとスライダーは合いそうな投げ方ですけど、実は苦手だそうです。

 大切なのは直球と同じように腕を振ること。どんな球種でも同じように投げられることが大前提で、それが打者を戸惑わせる。そして、無理に曲げよう、曲げようとしないこと。意識しすぎると投球フォーム全体を崩してしまう可能性もあるからです。先日も広島の九里投手にスライダーの握り、投げ方などを伝えました。彼は「大きく膨らんでしまう」というのが悩みでしたが、戸郷投手は大きい変化を求めなくてもいいと思います。直球の軌道からピュッと消える。それが理想ですかね。

 アドバイスの後に実際にスライダーを投げていましたが、すぐに変わりました。意識するポイントを言われてすぐ、感覚的なものを形にするのは難しいんです。器用さ、適応力の高さを感じましたね。やり方はいろいろあるし、ちょっとのことで変わります。戸郷投手はまだ21歳。ブルペンでは大勢の若手投手が投げていましたが、20歳で育成の堀田投手も他の人が持っていない角度の直球でした。お世辞抜きに、あの軌道の直球を低めに集めるだけで抑えられるのでは、と思いましたね。

 1日から宮崎で5球団のキャンプを回らせていただきました。十分な時間、練習を見ることはできませんでしたが、非常に楽しかったですね。今日もブルペンで捕手の後ろ、実際に投げている投手の後ろから投球練習を見させてもらいました。やっぱり横から見るのとは情報量が違いました。原監督には感謝したいです。 (スポニチ本紙評論家)

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2022年2月4日のニュース