阪神ドラ4・前川 同郷・津市の“霊長類最強女子”吉田沙保里さん目標に「気持ちの強い選手になりたい」

[ 2022年1月5日 05:30 ]

大漁旗舞う漁船の前で今季の飛躍を誓った前川(撮影・椎名 航)
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 阪神のドラフト4位・前川右京外野手(18=智弁学園)が地元の三重県津市内で4日、自主トレを公開した。高卒1年目からの活躍に向けて着々と調整を続ける期待の大砲候補。同市出身で女子レスリング界のレジェンド・吉田沙保里さんに並ぶような存在感を身につけ、津、ひいては日本を代表するアスリートを目指していく。

 原点の地から、間もなく始まるプロ野球人生を見据えた。前川が練習場所に選んだのは、小学生時代に朝から晩まで白球を追いかけたグラウンド。約2時間にわたり汗を流すと、同郷の吉田沙保里さんのような“強い”選手を目指すべく力を込めた。

 「会ったことはないですけど、よくテレビとかで見させてもらう。見た感じも強そうな雰囲気しかないので、すごいなと。ああいった気持ちの強い選手になりたいです」

 女子レスリング界のレジェンドで、言わずと知れた“霊長類最強女子”。前川自身も津市といえば吉田沙保里さんというイメージがあるという。「手の届かない存在だと思っていたので。でも、できることを全てやって可能性を自分でつくっていって。一生懸命に野球に向き合っていきたい」。いずれは津市出身といえば、前川右京と言われる活躍を――。ただ、素朴な18歳の青年は足元を見つめることも忘れてはいなかった。

 「目指すところは小さい目標もあれば、大きい目標もある。全部の目標を積み重ねていくタイプなので、地道にやっていきたい」

 矢野監督からは春季キャンプでの1軍帯同も示唆されている大砲候補。高卒1年目から1軍で活躍するのは容易ではないが、「1年目で初ヒットと初ホームランを両方打てるように」と決意を込める。その高い壁を打ち破る覚悟があるからこそ、前川は言い切った。

 「そこで引いていたらこれから先、何もやっていけないと思うんで。1年目から自分の持っているものを全部出してやっていけるように、全てにおいてチャレンジ精神を忘れずにやっていきたい」

 この日も気温10度前後という真冬の気候ながら「なるべく薄くして練習したいタイプ」とウインドブレーカーを早々に脱ぎ捨て、半袖でバットを振った。柵越えも5本放ったが、満足の2文字はない。ルーキーからの好発進を有言実行すべく、プロでの戦いが始まる。(阪井 日向)

 【前川に聞く】

 ――年末年始は?
 「親戚へのあいさつをしっかりやって、お墓参りとかして。時間が空いている時に走ったりバットを振ったり。刻み刻みでしたけど、それなりには練習できたかなと思います」

 ――津市を代表する選手に。
 「やっぱり高卒で中日に行かれた岡林選手とかもすぐ活躍されているので、高卒でもやれるところを自分も見せつけられるように。気持ちも新たに入れ替えて入りたい」

 ――春季キャンプでも長打力をアピールしたい。
 「バットを振ることに関しては誰にも負けない気持ち。バットを持った時に気持ちが入るので、そこで自分のアピールポイントを出していけたらなと思います」

 《自己ベスト体重で万全》年末年始は海の幸に舌鼓を打った。祖父が漁師であることから、前川の趣味も釣り。「高校野球が終わってから船に乗せてもらって、釣りに行ったりもした。帰ってきたときにもう1回連れていってもらいたい」と笑った。一方で、プロ野球選手としての自覚も十分。「正月も太らないように、食べる量も気にしてきた。体重もちょっと落としてやってきている」と自己ベストの87キロであることを明言。まもなく始まる新人合同自主トレに向けて、状態も万全だ。

 ◇前川 右京(まえがわ・うきょう)2003年(平15)5月18日生まれ、三重県津市出身の18歳。白塚小1年から白塚バッファローズでソフトボールを始め、投手で6年時に全国大会出場。一身田中では津ボーイズに在籍し、投手と外野手で3年時に全国大会出場。智弁学園では1年春から主力で、甲子園は同夏、2年の交流試合、3年春夏と計4度出場。50メートル走6秒3、遠投100メートル。1メートル76、87キロ。左投げ左打ち。

 ◇吉田 沙保里(よしだ・さおり)1982年(昭57)10月5日生まれ、三重県津市出身の39歳。全日本王者の父・栄勝さんの影響で3歳からレスリングを始め、04年アテネ、08年北京、12年ロンドンの五輪3大会を含む15年世界選手権まで世界大会16連覇。12年に五輪、世界選手権とで、史上初の13大会連続「世界一」でギネス世界記録に認定。国民栄誉賞を授与された。19年1月に現役引退を表明。その他、主な津市出身の有名人では元横綱・双羽黒の北尾光司氏や、ファッションデザイナーのドン小西氏らがいる。

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